エヌビディア 予想を上回る業績とガイダンスを発表し時間外で急騰

エヌビディア (NVDA) は、2月22日のマーケット終了後に第4四半期決算を発表しました。予想を上回る業績とガイダンスを発表し、AI需要の高まりから利益を得る立場にあることを明らかにしたことで、株価は発表後の時間外取引で8.89%高の225.98ドルと急騰しています。

第4四半期の売上高は、前年同期の76億4,000万米ドルから60億5,000万米ドルに減少しました。純利益は、前年同期の30億ドル(1株当たり1.18ドル)に対し、14億1000万ドル(1株当たり57セント)。株式報酬費用などを除いた調整後利益は、前年同期の1.32ドルに対し、1株当たり88セントとなっています。

ファクトセットが調査したアナリストのコンセンサス予想は、売上高60億2000万ドルに対し、調整後利益は1株当たり81セントとなっており、いずれも上回っています。

データセンターの売上高は前年比11%増の36億2000万ドルで、コンセンサス予想の38億5000万ドルを下回りました。データセンター事業はここ数年、株価の主な牽引役でしたが、最近のクラウドコンピューティングの減速により、同事業の短期的な成長に対する懸念が生じる一方で、最近の人工知能ブームにより将来に対する期待が高まっています。

ゲーミングの売上高は18億3000万ドルで、コンセンサス予想の15億9000万ドルを上回りました。

足元で進行中の第1四半期については、売上高を63億7000万ドル〜66億3000万ドルとする見通しを示しました。アナリストのコンセンサス予想は、売上高63億1000万ドル、調整後の1株当たり利益85セントとなっていました。

エヌビディアはまた、オープンAIのバイラルチャットボット「ChatGPT」などの技術によって普及した人工知能への人気の高まりを利用し、新しいクラウドサービスビジネスを開始すると発表しました。オラクル、マイクロソフト、アルファベットと提携し、Nvidia GTXマシンを使って簡単なブラウザアクセスでAI処理を行う機能を提供するものになるようです。

大手クラウドコンピューティングプロバイダーを通じて提供されるこのサービスは、チャットボットを含むAIツールの開発を、さまざまな企業にとってより身近なものにすることを目的としていると、ジェンスン・フアンCEOは述べています。

高解像度グラフィックスと高速フレームレートを渇望するPCビデオゲーマーに対応することでビジネスを構築してきたエヌビディアですが、近年は多角化を目指しています。同社のグラフィックス処理チップはAI計算に適しており、機械学習やその他のAIを取り入れたアプリケーションが一般的になるにつれ、同社はその市場に対応するようになっています。

アナリストらは現在ブームにっている生成型AIの需要の伸びからエヌビディアが大きな利益を得るポジションにいると見ています。マイクロソフトはこのようなツールの1つを同社の検索エンジン「Bing」で使い始めており、他の大手ハイテク企業も独自のバージョンに取り組んでいます。

UBSのアナリストは最近の顧客向けメモで、こうしたAIシステムの構築に使用できるのは高度なエヌビディア製チップだけだと述べ、マイクロソフトが使用しているChatGPTツールはエヌビディアのグラフィックチップを1万個ほど必要とするものだと推定しています。

エヌビディアのコレット・クレスCFOは、エヌビディアはアマゾン、マイクロソフト、アルファベットなどすべての主要クラウドコンピューティングプロバイダーと生成型AIツールで協働していることを明らかにしました。

「このチャンスは非常に大きく、データセンターにおける力強い成長を牽引し、今年を通して加速する」と同氏は述べ、データセンターの売上高は、前四半期比、前年同期比ともに「第1四半期を過ぎて加速している」としています。

クレスCFOは電話会議で中国市場の弱さについても言及しています。データセンターの売上が前四半期に比べて減少しましたが、これは中国での売上減少を一部反映しているとのこと。最近の米国の規制により、中国におけるエヌビディアの最先端チップの販売には制限が設けられており、同社は昨年、四半期売上で最大4億ドルの損失を被る可能性があると発表しています。エヌビディアはその後、米国の規制を受けない中国市場向けチップを開発しました。

また、クラウドコンピューティング企業も、経済の不透明感が増す中、昨年末に支出を一時停止していたとのことです。

エヌビディアは、仮想世界、いわゆるメタバースや自律走行システムなどの市場に手を広げることを狙っていますが、第4四半期における自動車関連の売上は2億9400万ドルと2倍以上に増加したものの、メタバース関連のサービスを含む部門は2億2600万ドルと65%減少しました。

同社はまた、インターネット経由でハイエンドのグラフィックス・ハードウェアに遠隔アクセスできるゲーム・サービスも運営していますが、今週、マイクロソフトと10年契約を結び、同社のゲームを同サービスに追加したことで、同事業は勢いを増しています。ビデオゲーム機『Xbox』を販売するマイクロソフトは、750億ドルを投じてアクティビジョン・ブリザード社を買収し、大手ゲーム開発企業になることを目指しています。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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