エヌビディア (NVDA) が、2月22日のマーケット終了後に発表した第4四半期決算報告の内容はどうやら同社を取り巻く雰囲気を一変させたようです。人口知能(AI)関連の製品と専門知識によって同社には洋洋たる未来が開けているように見えます。
今回の決算発表でエヌビディアは2四半期連続で前年同期比でGPUの需要が減少していることを明らかにしましたが、コレット・クレスCFOが「チャネル在庫調整の影響はほぼ収まった」と述べたように、今後の見通しは明るいようです。
アナリストらは第1四半期の売上が昨年から約24%減の63億ドルになると予想していましたが、クレス氏は65億ドル、プラスマイナス2%の売上になるとの見通しを示しています。これは、エヌビディアがウォール街の期待に応え、会計年度第2四半期には以前のような売上成長の軌道に戻ることを意味します。
過去にも売上高の低迷が続いたことがありました。それは、2019年に売上が4四半期連続で減少し「暗号の二日酔い」と呼ばれた出来事で、2018年に暗号通貨の価格が急速に下落すると、暗号通貨のマイナーはすぐにグラフィックスカードを売却し、安価なカードが市場にあふれてエヌビディアの売上は落ち、多額の在庫が残りました。
もし、クレス氏の言うとおり、第2四半期に売上が戻るならば、今回は4年前よりも短い期間で不振の時期を終わらせることになります。
ジェンスン・フアンCEOは電話会議で、オープンAIのChatGPT(生成型AIチャットボット)が公開されて以来、エヌビディアのAIインフラ周りの活動は「屋根を突き破っている」と述べています。
ブームに乗ろうとしてか、最近の決算説明会ではAIに言及する企業が増えていますが、中身の伴わないものが多く、売上や収益にどのような効果を与えるのか、具体的に説明できる会社は多くありません。エヌビディアが発表した内容はそうした企業とは一線を画しており、「AIの旗手」と自他共に認める存在であることを改めて示しました。
コレットCFOはマーケットウォッチの取材に答えて、AI推進の「大きな部分を支えるのは我々だ」と語ったそうですが、その言葉にふさわしい同社の活動内容だと思います。
ただ、AI関連の売上の多くがもたらされるのは、まだ数四半期先のことです。そして、ゲーム販売はまだ在庫問題から抜け出しておらず、クラウドサービス・プロバイダーが以前のようなGPUの大量購入を再開するにはもう少し時間がかかりそうで、メタバースや自律走行システムなどの新しい市場に火がつくのはもっと先です。
しかし、これらのピストンがすべて動き出すようになれば、エヌビディアのエンジンは止められなくなりそうです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA