米国の経済誌バロンズがバリュー投資家が現在注目し保有している11の銘柄を紹介しています。
イートン・バンス・バリュー・オポチュニティ・ファンド(EAFVX)を共同運用するアーロン・ダン氏が保有しているのは以下の銘柄。
・ウェルズ・ファーゴ(WFC)
・ウォルト・ディズニー(DIS)
・カルメット・スペシャルティ・プロダクツ・パートナーズ(CLMT)
・エナジー・トランスファー(ET)
・コノコフィリップス(COP)
・ハリバートン(HAL)
米国の大手銀行持株会社のウェルズ・ファーゴは、2018年から違法行為の容疑を解決するために罰金を支払ってきた会社であり、最近の決算報告では、利益が半減していることが明らかになるなど、投資家から敬遠されている銘柄です。しかし、同銘柄は2023年推定利益の9倍、簿価の1倍で取引されており、同業のJPMモルガンチェース(JPM)が約10.5倍、約1.4倍であるのと比較して、魅力的であると言えるとダン氏は考えています。「経営陣は多くの内部改革とコスト削減を進めており、相対評価の追い風を受けている」と同氏はコメントしています。
ダン氏はまたディズニーも評価しています。新CEOに就任したボブ・アイガー氏の下、Disney+は全社的なコスト削減と、成長と収益性によりバランスのとれたアプローチをとり、最終的には復配への道を開くと予想しています。ネットフリックス(NFLX)の決算発表によりストリーミングへの懸念が和らいだため、ディズニー株は先週 3.8% 上昇しましたが、それでも過去1年で 30%下落しています。
法人ではなく、パートナーシップで構成されている企業は、税金などの問題が複雑で、多くの投資家は手を出したがりませんが、ダン氏はこうした銘柄にも投資しています。カルメット・スペシャルティ・プロダクツ・パートナーズは、石油を精製して様々な消費財や工業製品を作るほか、モンタナ州の大豆から「再生可能ディーゼル」を生産している会社です。エナジー・トランスファーは、何万マイルもの天然ガスパイプラインを所有し、8.5%の配当利回りを提供しているテキサス州ダラスに本拠を置く会社です。
ダン氏は独立系エネルギー企業で、世界各地で石油と天然ガスの探鉱・生産に従事するコノコフィリップスを現在の最大保有銘柄としており、そのほかにも、米国内外の石油、天然ガス会社に石油・天然ガスの探鉱、開発、生産関連サービスと製品を提供しているハリバートンを保有するなど、エネルギー株に価値を見出しています。
バロンズが紹介するもうひとりのバリュー投資家、フランク・バリュー・ファンド(FRNKX)のチーフ・インベストメント・オフィサー、ブライアン・フランク氏は以下の銘柄を保有しています。
・フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)
・アルトリア・グループ(MO)
・CVRエナジー(CVI)
・NOW(DNOW)
・ネクスティア・オイルフィールド・ソリューションズ(NEX)
タバコ製品を製造するとあって特定の投資家から敬遠されている銘柄も一見の価値があるとフランク氏は述べ、フィリップ・モリス・インターナショナルやアルトリア・グループのような「sin stocks」に注目しています。
フィリップ・モリスは1月初めにバロンズも取り上げていた銘柄ですが、現在株価は2023年予想利益の17.5倍となっており、アルトリアの8.9倍と同様にいずれも消費者物価指数平均より割安となっています。両社は不況知らずの属性を持っており、アルトリアは8.4%、フィリップ・モリスは約5%の高配当銘柄です。
フランク氏もダン氏と同様にエネルギー株を評価しています。同氏は、精製会社のCVRエナジー、油田サービス会社のナウとネクスティア・オイルフィールド・ソリューションズを保有しています。
「景気後退期にエネルギー関連株を保有するのは奇妙に思えるかもしれないが、バランスシートは強固で、これらの銘柄は割安な利益マルチプルと高い配当利回りを誇っている」とフランク氏は述べ、供給量の増加は抑制され、原油価格は通常より高く維持されるはずだと見ています。
Image by AI素材.com