2023年の自動車関連株で買うべき銘柄と避けるべき銘柄

2022年は自動車株にとって悲惨な1年でした。金利上昇、サプライチェーン問題、インフレ、そして世界経済の減速といった問題の打撃により、ラッセル3000自動車・自動車部品指数に含まれる自動車株は、2022年に約40%下落しました。

果たして2023年は、自動車メーカー、部品メーカー、ディーラー、サービスプロバイダーなどの自動車関連株にとってどのような1年になるのか。米国の経済誌バロンズがアナリストの「買い」評価率(「買い」に相当する格付けの数を、その銘柄をカバーするアナリストの格付けの総数で割ったもの)で、2023年に買うべき銘柄と避けるべき銘柄を選定しています。

アナリストの格付けは、投資アイデアを選別する一つの手段に過ぎず、その判断が常に正しいとは限りませんが、アナリストは業界や企業について熟知していることで報酬を得ています。また、アナリストは機関投資家との対話に多くの時間を費やし、期待値を設定するのに役立っています。そのため、アナリストの評価は、少なくとも投資家が何を考えているかを示す良い指標となります。

「買い」評価率が高く、買うべき銘柄

・コパート(CPRT)80%
・アプティブ(APTV)74%
・リチア・モーターズ(LAD)73%
・オライリー・オートモーティブ(ORLY)71%
・テスラ(TSLA)64%

選定の基準としてバロンズは「黒字であること」を条件としています。このため、リヴィアン・オートモーティブ(RIVN)はアナリストに人気があるものの、利益を上げておらず、2027年か2028年まで利益を上げる見込みがないため除外されています。

担当するアナリストの80%が「買い」と評価して最も人気の高いのは、カーオークションのコパートです。その後に、部品メーカーのアプティブ、新車ディーラーのリチア・モーターズ、アフターマーケット部品販売のオライリー・オートモーティブ、電気自動車の先駆者テスラが続いています。

このベスト5の平均「買い」評価率は約72%。2023年の推定利益に対する平均株価収益率は、この5社グループで約19倍。多くの自動車メーカーや部品メーカーの株価は1桁台のPEレシオで取引されているため、自動車メーカー株としては非常に高い水準と言えます。

この上位銘柄リストが示唆するのは、PEレシオが低いだけでは自動車株を買う理由にはならないということです。例えば、ゼネラルモーターズ (GM)とフォード・モーター(F)は、それぞれ2023年推定利益の約6倍と7倍で取引されていますが、GMの「買い」評価率は58%と平均的で、フォードの場合は、40%程度と低く、以下の避けるべき銘柄にリストアップされています。

「買い」評価率が低く、避けるべき銘柄

・カーバナ(CVNA)11%
・ペンスキー・オートモーティブ・グループ(PAG)25%
・リア(LEA)37%
・フォード・モーター(F)38%
・オートリブ(ALV)40%

担当するアナリストの11%が「買い」と評価しているに過ぎない中古車ディーラーのカーバナが最も「買い」評価率が低い銘柄です。その後に、米国の大手自動車ディーラーのペンスキー、部品メーカーのリア、フォード、部品メーカーのオートリブが続いています。

このワースト5の平均「買い」評価率は約30%。利益が出ていないカーバナを除いた平均PEレシオは、2023年予想利益の約9倍。カーバナを除くグループの株式は、1月11日の終値までの平均で過去12カ月間に約28%暴落しています。

カーバナの株価は、同社が負債を抱えすぎてフリーキャッシュフローがないことを投資家が懸念し、約98%急落しています。ウォール街では、同社の事業は今後数年間、フリーキャッシュフローを生み出すのではなく、現金を使うことになると予想しています。さらに、アナリストは、約13億ドルの営業損失が予想されるのに対し、同社の負債総額は約76億ドルで今年を終えると予測しています。

アナリストは、ペンスキーを含め、カーバナ以外の中古車ディーラーも好まないようです。それは、12月に前年比13%下落した中古車価格の下落を恐れているからで、価格の下落は利益率を食いつぶす可能性があると見られています。


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