アマゾン・ドット・コム(AMZN)が1万8000人超、セールスフォース(CRM)が7000人超のレイオフ(一時解雇)を発表するなど、大手ハイテク株の人員削減が相次いで発表されていますが、ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダニエル・アイブス氏は、こうした人員削減が同氏が言うところの 「ハイテク・リバウンド 」の舞台となると考えています。
昨年2022年はハイテク株にとって悲惨な1年でした。ナスダック総合株価指数は33%減、アップル(AAPL)は26%減、テスラ(TSLA)とメタ・プラットフォームズ(META)はそれぞれ65%と64%減と、惨憺たる結果でした。
景気後退への懸念から起こった成長株からバリュー株への資金流出、企業のIT投資抑制への懸念、在宅勤務の定着によるデジタル・ソフトサービスの需要減への懸念、といったことがハイテク株下落の主な要因でした。
こうした1年を経て、アイブス氏は1月5日付けのメモでハイテク・セクターは今年20%上昇すると主張しています。その理由として同氏があげているのは、解雇の波、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ路線、IT支出の見通しの良さなどです。
「投資家は、経営陣が嵐を先取りし、この不透明なマクロの中で利益と収益を維持することを望んでいるため、(人員削減は)ストリートにとってプラスになると見ている。これらの銘柄を安定させるための最初の大きな一歩であると我々は考えている」と同氏は述べています。
その具体例としてアイブス氏があげたのがメタで、マーク・ザッカーバーグCEOが1万1000人以上の雇用を削減すると従業員に告げた11月9日以降、株価は25%上昇しています。ザッカーバーグ氏は同じ発表の中で、雇用の凍結と裁量支出の削減も発表しています。
全体として、ハイテクセクターは5%から10%の労働者を削減したと、アイブス氏は試算しています。
FRBについては、積極的な利上げが夏までに緩和され、投資家のハイテクに対する見方がより明るくなるとアイブス氏は予測しています。
最後に、アイブズ氏は、各企業の最高情報責任者(CIO)とのインタビューで、彼らが依然としてIT支出の削減を見込んでいるものの、市場関係者が最初に予想したほどには急落していないことを明らかにしています。
同氏は、クラウドの分野では、セールスフォースとマイクロソフト(MSFT)をリバウンドの最有力候補に挙げています。「(クラウドの)技術支出は依然として健全で、停止しているわけではない」と同氏は述べています。
同氏にとってアップルは引き続きハイテクセクターにおけるトップピックです。景気が軟化している兆候があるにもかかわらず、需要は堅調に推移すると同氏は考えています。
3銘柄のほか、アマゾン(AMZN)など他の大手ハイテク企業も、「アウトパフォーム」と同氏は評価しています。