バロンズ選定 2023年のトップストック10(2)

  • 2022年12月19日
  • 2022年12月19日
  • BS余話

バロンズが選定した2023年のトップストック10。その紹介の2回目です(1回目はこちら)。

コムキャスト(CMCSA)

通信大手のコムキャストの株価は今年、同社の最も得意とするブロードバンド(高速インターネット接続)事業の減速により打撃を受けており、株価は30%下がって35ドルになりました。

しかし、同社は市場の評価以上に持ちこたえており、3200万人の顧客を持つ同社のブロードバンド事業は、粘りがあり、価格決定力を持っているとバロンズは評価しています。

コムキャストはまた、NBCユニバーサルとヨーロッパの衛星テレビ会社Skyを所有していますが、株価が2023年の予想利益の10倍で取引されていることから、「投資家は実質的にこの2社をタダで手に入れている」という、SVBモフェットネイサンソンのアナリストであるクレイグ・モフェット氏の言葉をバロンズは紹介しています。

ウォール街は、年間20億ドル以上の損失を出しているNBCユニバーサルのストリーミング事業ピーコックに満足しておらず、多くの投資家はNBCユニバーサルとSkyがスピンオフするか売却されることを望んでいるとバロンズは分析していますが、一族が同社を支配しているブライアン・ロバーツCEOは、分割を好んでおらず、この株価ではその必要はないのかもしれないと見ています。

コムキャストを「アウトパフォーム」と格付けし、目標株価を46ドルに設定しているモフェット氏は、「投資家は一般的にコムキャストの多様なポートフォリオのファンではなく、そのために同社は間違いなくかなりの「コングロマリット割引」のペナルティを支払っている」としながらも「しかし、その割引を考慮しても、この株はまだ安すぎる」と述べています。

デルタ航空(DAL)

米国の航空会社の中で最も管理が行き届いていると言われるデルタ航空は、今後2年間で大幅な収益拡大を遂げる構えだとバロンズは見ています。34ドル前後の現在の株価は割安に見え、デルタ航空の最近の予測の中間値である1株当たり5.50ドルの2023年予測利益の6倍で取引されており、2024年の利益予想である1株7ドルの5倍で取引されているとしています。

航空会社は歴史的に株式市場におけるパフォーマンスが低いため投資家が警戒するのは当然だとしながらも、パイロットとの高額な新契約にもかかわらず、2023年に15%から20%の売上増と、ほぼ2倍の利益を見込んでいるデルタの将来には明るい材料があるとバロンズは見ており、同社に強気で、目標株価を54ドルに設定しているカウエンのアナリスト、Helane Becker氏の意見を紹介しています。

「経営陣が設定した目標は、保守的であり、大規模な不況がない限り達成可能だと考えている」と同氏は述べています。

デルタ航空はフリーキャッシュフローをパンデミック時代の負債の返済に充てており、ライバルのサウスウエスト航空(LUV)と同じく復配はしていません。

しかし、デルタ航空は、航空機のキャビンを細分化した業界のリーダーであり、米国で最も忙しい空港の多くで主要な地位を占める強力なハブネットワークを持っているため、「いよいよ飛ぶ時が来たのかもしれない」とバロンズは評価しています。

メドトロニック(MDT)

メドトロニックは45年連続で増配を続けている配当貴族ですが、医療機器のトップメーカーである同社の株価のパフォーマンスは冴えないとバロンズと評価しています。同社の株価は約77ドルで、2022年には24%下落し、過去5年間は赤字となっています。

しかし、現在の株価は、4月期の予想利益の約14倍と、ライバルのボストン・サイエンティフィック(BSX)やストライカー (SYK)の約半分のPERで取引されており、5月に8%の増配が行われた後の配当利回りは3.5%と魅力的に見えるとバロンズは述べています。

同社には問題があり、11月の決算では、予想外の売上減速と為替の逆風を理由にガイダンスを1株当たり約30セント引き下げ、現在は4月期の利益を5.25ドル〜5.30ドルと見ていること、そして、血圧を下げるための腎臓用デバイスのパイプラインが頓挫したこと、などをバロンズは指摘しています。

しかし、同社のCEOのジェフ・マーサ氏が「業績改善のために断固とした行動をとる」と決算発表時に述べ、その一歩としてコスト削減に取り組んでいることをバロンズは評価しています。

「メドトロニックは、華やかさを失ったが、成長を失ったわけではない」というコロンビア・フレキシブル・キャピタル・インカム・ファンドの主幹事、デビッド・キング氏の言葉や、「それが、我々がこの会社を所有する理由の一つだ」という同ファンドのリード・マネージャー、デビッド・キング氏の言葉を引用してバロンズは選定の理由としています。

マジソン・スクエア・ガーデン・スポーツ(MSGS)

スポーツチームは、億万長者たちがトロフィーとなる資産を買い占めるため、記録的な高値で取引されていますが、メジャーなプロスポーツを扱う2社しかない株式公開企業の一つであるマディソン・スクエア・ガーデン・スポーツは、非常に価値の高い2チームを所有しているにもかかわらず、低迷を続けています。

株価は160ドルで時価総額は39億ドル、純負債を含めても41億ドルと、バーゲンの様相を呈しており、これは、NBAのニューヨーク・ニックスを61億ドル、NHLのニューヨーク・レンジャーズを22億ドルと評価するForbesによるチームの合計推定価格よりも50%割安であるとバロンズは述べています。

バロンズが引用した専門家の意見は、ボイヤー・リサーチのボイヤー社長のもので、2024-25年シーズン以降の新しいNBAのテレビ契約は、NBAのオーナーに現在の額のおよそ2倍となる毎年27億ドルを支払う内容になっているため、大きなプラスになるはずだとボイヤー氏は評価し、マディソン・スクエア・ガーデン・スポーツは現在の価格の2倍の価値があると見ています。

トール・ブラザーズ(TOL)

高級住宅メーカーのトップであるトール・ブラザーズの株価は今年30%も下落していますが、この大幅な下落ほどには同社の状況は悪くないとバロンズは見ています。

確かに住宅ローン金利は倍増していますが、高級住宅メーカーのトップであるトールは、平均約100万ドルで販売される同社の住宅の購入者が裕福であるため、同業他社よりも金利高の影響を受けずにいます。トールの購入者の約20%は現金で支払い、その多くが購入時の価格よりはるかに高い金額で住宅を売却しているとバロンズは指摘しています。

直近の四半期では新規受注が50%以上減少しましたが、トールは依然として大量の受注残を抱えているそうです。また、インセンティブを新築住宅の価格の平均8%に制限しています。

バロンズが紹介したのは、エバーコアISIのアナリスト、スティーブン・キム氏の評価で、「アウトパフォーム」の格付けと63ドルの目標株価を設定し、インセンティブの増加は、主に木材のコストダウンによって相殺されていると指摘しています。

現在の株価は非常に安価に見えるとバロンズは評しています。約50ドルという株価は、簿価55ドルを下回り、予想利益のわずか7倍で取引されています。

米連邦準備制度理事会(FRB)の方針転換が実現すれば、金利に連動する傾向がある住宅関連株は、バーゲンのように見えるかもしれないとバロンズは述べています。また、共同創業者のボブ・トール氏が10月に死去したことで、同社は他の住宅メーカーやバークシャー・ハサウェイの買収候補になる可能性があると同誌は指摘しています。

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