アマゾン(AMZN)の株価は今年に入ってから43%も下落していますが、今の状態を「トンネルの終わりにいる」と見て、株価を取り巻くセンチメントが改善されるとアナリストが予想しています。
そんな見解を表明しているのは、モフェットネイサンソンのアナリスト、マイケル・モートン氏で、同氏が電子商取引ソフトウェア・セクターのカバレッジを開始してレポートを発表したことは「アマゾン Eコマースのベスト企業として「買い」推奨」でご紹介しました。
同氏がレポートで推奨したのはアマゾン1社だけでしたが、なぜそうした結論に達したのか、その理由の詳細をご紹介します。
ノートン氏の主張は、アマゾンのコスト構造が徐々に好転してきたというものです。同社は2020年から2022年にかけてフルフィルメントと輸送インフラに810億ドルを投じましたが、アマゾンは今、その投資からの報酬を得る立場にあると同氏は見ています。
同氏は、アマゾンがコストを抑制することで、フルフィルメントの単位当たりの経済性が改善されると考えており、フルフィルメントと輸送に対する同社の支出は、今年の推定250億ドルから2025年には100億ドルにまで減ると予想しています。
ノートン氏は、ウォール街の予想は資本支出については高すぎ、フリーキャッシュフローについては低すぎると考えています。営業レバレッジの改善とさらなる経費抑制により、2023年の税引き前利益はウォール街の予想を18%上回り、2024年には予想を9%上回るはずだと考えています。
そして、来年度のアマゾンの利益は1.93ドルで、ウォール街の予想の1.68ドルを上回ると見ており、税引き前利益率は今年の2.5%から、来年は4.8%、2024年には6.7%に達すると同氏は見ています。
ノートン氏は、アマゾンのEコマース事業を評価する一つの有効な方法は、商品総価値(販売された商品の総価値)を倉庫の面積で割ることであるとしています。この指標でアマゾンのビジネスを見ると、コロナ関連の閉鎖により、2020年に1,255ドルでピークを迎え、今年は生産能力の拡大と成長の鈍化により918ドルにまで落ち込んだと推定されるそうです。しかし、2025年には1平方フィートあたり1,058ドルまで回復すると同氏は予想しています。
この3年間は利益が予想より減少し、資本集約度が予想より大きくなったため、株価が大きく下落しましたが、「我々はトンネルの終わりにいると信じている」とノートン氏は述べ、格付けを「アウトパフォーム」、目標株価を現在の株価よりも26%高い118ドルに設定しています。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN