逆行高のスノーフレーク 既存顧客の支出増を柱に躍進

8月26日、米国市場は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が高インフレの抑制のためにやり続けなければならないと利上げ継続を表明したために、大きく下落していますが、そんな流れに抗するようにスノーフレーク(SNOW)は平均を約3倍上回る出来高を伴う0.73%増の逆行高を演じて見せてこの日も異彩を放っています。

8月24日に第2四半期決算を発表する直前まで、経済環境の悪化から企業がデータ分析ソフトウェアの予算を削減するのではとの懸念によって、「買い」から「ニュートラル」に格下げするアナリストが出るなど不安視されていた同社の決算ですが、蓋を開けてみると、そうした懸念は杞憂であったことが明らかになりました。「スノーフレーク 好業績の発表と通期ガイダンスの引上げで18%高騰

予想に反して顧客の企業が支出を減らさなかったことはネット・リテンション・レートが171%であったことに端的に現れています。

同レートは、1年前と比較して既存顧客がどれだけ支出を行なっているかを測定するもので、リピート・ビジネスがうまく機能しているかを示す重要な指標です。それが171%ということは、既存顧客が1年前から71%も支出を増やしていることを意味しており、スノーフレークのソフトウェアの効用を認めて使用量を増やしていることの証です。

第1半期の174%という数字からは少し落ちてしまいましたが、これで過去5期にわたり、168%以上のネット・リテンション・レートを維持したことになりました。SaaSにおける同レートは、135%程度であれば「成功」とされているそうですから、これは驚異的な成果と言えます。

さらに驚くべきことに、スノーフレークの最高財務責任者であるMike Scarpelli氏は、第1四半期の決算説明会で、この指標は徐々に下がっていくものの、「非常に長い間、130%以上を維持する可能性がある」と述べています。

顧客がスノーフレークへの支出を減らしていないことを示すもうひとつの端的な指標は年間100万ドル以上利用する大口顧客が増え続けていることです。

大口顧客の数は2019年度が14社、2022年度は184社、そして2023年度に入り、第1四半期206社、そして今回発表された第2四半期で246社と急激に増加しています。

スノーフレークは、2029年までに大口顧客を1,400社に増やしたいと考えており、これらの顧客が総売上の4分の3以上を占めるようになることを期待しています。

このように顧客が支出を減らすどころか逆に増やしている要因のひとつに、スノーフレークが従量制の支払いシステムを採用していることが考えられます。顧客が支払う金額は、顧客が利用可能なデータに対して行ったクエリの数に応じて決まります。

多くの場合、顧客はスノーフレークのプラットフォームに慣れるために最初はゆっくりと利用しますが、同社のソフトウェアが提供する価値を理解し始めると、利用量を増やしていくことになります。

その結果、スノーフレークは企業顧客との関係を維持しつつ、時間の経過とともにそれらの企業との関係、そして収益を拡大していくことになります。

もちろん、顧客の支出が増えている一番の理由はスノーフレークが提供する製品の力です。

スノーフレークは、顧客の利便性を第一に考えてプラットフォームを設計し、ビジネスモデルを構築しています。アマゾンのAWS、マイクロソフトのAzure、アルファベットのGoogle Cloudなど、主要なクラウドプラットフォームのいずれとも連携可能です。

その柔軟性に加え、スノーフレークは高いスケーラビリティを備えています。ユーザーを増やしたときにパフォーマンスが低下する心配はなく、増加したワークロードをサポートするために瞬時に計算リソースが自動的に割り当てられます。

スノーフレークは、データアナリスト、開発者、データサイエンティスト、および非技術系ユーザー向けの幅広いツールセットによって、企業がデータの価値を最大化できるようにしています。

スノーフレークの強みは、単一のクラウドアーキテクチャ・エコシステムにとらわれず、すべての人にサービスを提供できることです。断片化されたデータをまとめ、分析する人がそこからインサイトを得られるようにすることでスノーフレークの存在は際立っており、ビッグデータムーブメントの画期的なイノベーターとして今後も躍進を続けることが期待できます。

*過去記事はこちら スノーフレーク SNOW

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