バイオテクノロジー関連銘柄がこのところ絶好調です。バイオテクノロジー・セクターを対象とするSPDR S&P バイオテック上場投資信託(XBI)は、2021年2月上旬のピークから今年6月14日までに63.6%下落しましたが、その後急回復し45%上昇しています。
この数ヶ月間、バイオテクノロジー・セクターの基本的な部分は何も変わっていませんが、注目されていた医薬品の臨床試験が好結果となり、M&Aの動きが活発化するなど、バイオテクノロジー企業にとって好材料が揃ってきたことで株価が回復しています。
どのような企業がこの上昇の主役になっているのか、米国の経済誌バロンズが調べて報告していますのでご紹介します。
バロンズはXBIと、このセクターを対象とするもう一つのETF、iSharesバイオテクノロジー(IBB)を対象に、6月14日の市場終値から8月15日の市場終値の間に最も上昇した10銘柄をスクリーニングしました。
時価総額30億ドル以上の企業に限定して行ったスクリーニングの結果は以下のとおりです。
銘柄名 / ティッカー | 時価総額(10億ドル) | 8/15終値 | 6/15以降の上昇率 |
---|---|---|---|
グローバル・ブラッド・セラピューティクス / GBT | $4.3 | $67.04 | 200.6% |
カルナ・セラピューティクス / KRTX | $9.1 | $273.71 | 176.6% |
ビーム・セラピューティクス / BEAM | $4.9 | $70.31 | 128.1% |
ケモセントリックス / CCXI | $3.6 | $50.81 | 117.4% |
PTCセラピューティクス / PTCT | $3.8 | $52.92 | 106.2% |
ツイスト・バイオサイエンス / TWST | $3.0 | $53.91 | 96.3% |
フェイト・セラピューティクス / FATE | $3.5 | $36.06 | 93.6% |
インテリア・セラピューティクス / NTLA | $5.2 | $68.42 | 77.8% |
レプリジェン / RGEN | $14.2 | $255.73 | 77.4% |
アペリス・ファーマシューティカルズ/ APLS | $7.5 | $68.64 | 76.6% |
トップのグローバル・ブラッド・セラピューティクス(GBT)はファイザー(PFE)が8月初旬に54億ドルで買収すると発表した後、200%上昇しています。
4位のケモセントリックス(CCXI)は、アムジェン(AMGN)が同社を37億ドルで買収することに合意した後、117.4%上昇しています。
目立った個別の大きなニュースがあったのはこの2社だけで、他の銘柄については会社の構造を変えるような大きなニュースはありません。例えば、リプリジェン(RGEN)の株価は6月中旬から77.4%上昇しましが、これは、ダナハー(DHR)のような企業の株価を上昇させた、より広いバイオプロセス市場の楽観論に後押しされたもので、個別のニュースやイベントによるものではありません。
それでも、少しは個別のニュースもあり、2位のカルナ・セラピューティクス(KRTX)は統合失調症治療薬KarXTの試験で予想外の好結果を得たことが上昇につながっています。
また、5位のPTCセラピューティクス(PTCT)は、7月末に芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症の遺伝子治療アップスタザがEU規制当局から認可を受けています。
10位のアペリス・ファーマシューティカルズ(APLS)は、シティリサーチのアナリスト、イーガル・ノコモビッツ氏が8月10日のメモで、同社がM&Aターゲットになる可能性があると述べたことが上昇につながったようです。