ビデオゲーム開発ツールメーカーのユニティ・ソフトウェア(U)は8月15日、アップロビンの175億4000万ドルの買収提案を拒否し、モバイル開発者のアプリ拡張を支援するイスラエルのソフトウェア会社、アイアンソースとの合併を進めると発表しました。
アプリマーケティングサービスのアップロビン(APP)は今月初め、ユニティの買収を提案していました。アップロビンによると、統合後の会社は2024年末までに30億ドル以上のランレート調整済みEbitda(金利、税金、減価償却費前の利益)を生み出す可能性があるとのことです。
これに対し、ユニティとアイアンソース(IS)は、同期間に10億ドルのランレート調整後Ebitdaを生み出すと予想されると、ユニティのプレスリリースには書かれています。
「ユニティの株主にとって最善の利益ではなく、優越的提案をもたらすことが合理的に期待できないだろう」とユニティはプレスリリースの中でアップロビンの申し出を拒否した理由を述べています。
このプレスリリースを受けてユニティの株価は大きく下落。8月15日の終値は7.12%安の54.31ドルとなりました。アップロビンの終値は7.63%安の33.55ドルとなっています。
ユニティはアイアンソースとの合併について、ユニティのゲームエンジンとエディタ、アイアンソースのパブリッシングプラットフォームを組み合わせた「独自のエンドツーエンドプラットフォームの構築を通じて、長期的な価値を生み出す機会を提供する」と述べています。ユニティのソフトウェアは、Call of Dutyのような人気ゲームの開発に使用されています。
今回の発表によってアップロビンによる買収の話が頓挫したわけではないようです。バロンズが報じているところでは、アップロビンが買収額を増やすか、ユニティが買収を進めて今年の第4四半期にアイアンソースとの取引を完了させるか、どちらかの可能性があると関係者は述べているそうです。
アップロビンのユニティへのオファーは全株式で、発表当日に同社の株価は10%下落しました。同社がさらに株式を提供することになれば、株価はさらに下がる可能性があります。6月末時点のアップロビンの現金は9億5160万ドル、ユニティの企業価値は200億ドルとされていました。