ストリーミングビデオ大手のネットフリックス(NFLX)は7月19日、第2四半期決算を発表しました。
売上高は79億7000万ドルで、前年同期比8.6%増、アナリストのコンセンサス予想80億5000万ドルを少し下回りました。これは、ユーロ建ての負債に関連する3億500万ドルの現金支出を伴わない利益があったことが一因です。
アジア太平洋地域の成長が、米国と欧州の加入者減を一部相殺しました。同社は当四半期、全世界で97万人の加入者を失いましたが、200万人の減少という予想よりは少ない結果となりました。経営陣は、第3四半期に100万人の加入者を追加し、合計2億2170万人に増加する見込みであると述べています。
同社は、当四半期の会員数の伸びは予想を上回ったものの、不利な為替レートにより売上が3億3900万ドル減少したと述べています。また、会員一人当たりの平均売上は2%、恒常為替レートベースでは7%増加したとしています。
9月期については、売上高を前年同期比4.7%増の78億4000万ドル、利益を1株当たり2.14ドルと予想しています。これは、アナリストのコンセンサス予想である売上高80億8000万ドル、EPS2.77ドルを下回るものです。同社は、恒常為替レートベースで売上は12%増加するはずだと述べています。
ネットフリックスは6月期にアジア太平洋地域の有料会員を110万人増加させ、前年同期の100万人から増加させました。一方、米国とカナダでは130万人、欧州では80万人の加入者の純減となっており、中南米の加入者数はほぼ横ばいでした。
また、最近の人員削減による退職金7000万ドルと、一部の不動産リースに対する現金支出を伴わない減損費用8000万ドルを当四半期に計上したと発表しています。
ネットフリックスは、第1四半期の決算報告において、20万人の純加入者数の予想外の減少を発表し、株価の急落を引き起こしていました。この結果は非常に衝撃的で、創業者で共同CEOのリード・ヘイスティングス氏は、第1四半期の決算発表の場で、同社が広告収入による購読層を開拓することを決めたと発表しました。これは、プラットフォームへの広告掲載に断固として反対していたこれまでの姿勢を覆す、急進的な変化でした。
ヘイスティングス氏はその当時、パスワードの共有を減らすための措置を講じるとも述べました。同社は、数百万世帯が1円も支払わずにネットフリックスを視聴しているのではないかと疑っています。
19日に公表した株主へのレターの中で23年初めに広告付きプランを追加する方針をネットフリックスは明らかにしました。初めは一部の市場から始めて、徐々に改善を重ね、「従来のテレビ広告よりも優れた広告モデルを、時間をかけて築く」としています。
また、パスワード共有の問題については、サービス料金を支払わずに視聴している1億世帯以上の収益化に取り組んでいる初期段階であると述べています。
決算説明会でヘイスティングスCEOは、「コンテンツ面では本当にうまくいっている」と述べ、「ストレンジャー・シングス」の新シーズンの視聴率が好調だったことが、今期の業績を押し上げる要因になったと述べました。しかし、100万人近い加入者の減少は、良い四半期というより、「悪くない」ということだコメントしています。
同社は今年、コンテンツに170億ドルを費やす見込みであることを改めて強調し、ここからの成長は緩やかになることを示唆しました。
ネットフリックスはまた、今年と来年の為替影響前の営業利益率を19%から20%にするというガイダンスを繰り返しました。今年のフリー・キャッシュフローは数億ドルの増減はあるにせよ約10億ドルで、来年はさらに増加するとのことです。
ネットフリックスの株価は19日の通常取引を5.61%増で終えた後、決算発表後のアフターマーケットでは7.85%増の217.46ドルで取引されています(米国東部夏時間07:59PM)。他のストリーミングビデオの銘柄も、このニュースを受けて上昇しており、ウォルト・ディズニー(DIS)は2.1%上昇、ロク(ROKU) は3.48%上昇しました。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX