BofAグローバルリサーチのアナリスト、Wamsi Mohan氏が7月14日付けのリサーチノートでアップル(APPL)の広告事業の可能性について論じています。
同氏は2022年度にアップルがApp Storeの検索広告から約53億ドルの売上をあげると試算し、2024年度には98億ドルに達すると見ています。そして同氏は、アップルが独自の広告プラットフォームを構築することで、さらなる増収を図ることができると考えています。
iOSプラットフォーム上のモバイルアプリに広告を掲載することや、Apple Mapsでの広告の展開、Apple TV +ストリーミングサービスの広告サポート版などを同氏は構想しています。
同氏は、アップルの最大の資産は、その大規模なインストールベースであると主張しており、世界中で約18億あるアップルのデバイスが広告主を多くの人々に導く導管となると考えています。それを活用することで、App Storeの検索広告を超えて広告ビジネスを広げることができ、2026年までに200億ドル規模の広告事業を構築できると同氏は試算しています。
iPhone上での消費者行動の追跡に関する同社の厳しいプライバシー管理が、メタ・プラットフォームズ(META)やスナップ(SNAP)の広告ビジネスに打撃を与えていることを考えれば、アップルがより充実した広告ビジネスを構築することに皮肉を感じる人もいるかもしれませんが、だからこそ、アップルがプライバシーに焦点を当てた広告ビジネスを構築することができるとMohan氏は考えています。
「アップルは、ハードウェアとソフトウェアの両方にアクセスすることで、ユーザーのプライバシーを維持しながら、ターゲット広告を可能にするユニークな位置にある」と同氏は書き、「アップルのデバイスは、ユーザーが訪問したウェブサイト、ユーザーが開いたアプリ、ユーザーが聴いたり見たりした音楽やビデオ、ユーザーが移動した場所、そしてSiriとのインタラクションに関する情報を持っている。この情報に基づいて、ユーザーのプロファイルを作成し、おそらく暗号化してデバイス自体に保存することができる」とアップルの強みを分析しています。
アップルの広告事業の可能性について論じたのは、Mohan氏が初めてではありません。 昨年8月バーンスタインのアナリスト、Toni Sacconaghi氏は、アップルの広告ビジネスが2023年度または2024年度までに年間70億ドルから100億ドルに達する可能性があると予測しました。Mohan氏と同様、Apple MapsとApple TV+の両方における広告の可能性を強調しています。
*過去記事「アップル 広告事業が重要な収益基盤に」「アップル 広告事業で100億ドル増収も」
また、Evercore ISIのアナリストであるAmit Daryanani氏も昨年、アップルと広告の話題に言及し、アップルは2025会計年度までに広告収入で200億ドルを達成することができると理論付け、同氏もマップとストリーミングビデオの両方に関連した広告に可能性があると述べています。
*過去記事はこちら アップル AAPL