ユニティ 今回の暴落はバーゲン価格で購入できる絶好の機会

  • 2022年6月28日
  • 2022年6月28日
  • BS余話

高いバリュエーションで取引されるソフトウェア株は、この弱気市場で最も大きな打撃を受けているセクターです。ビデオゲーム開発ツールメーカーのユニティ・ソフトウェア(U)が今年に入って66%も暴落しているのもこの影響で、さらに同社が5月の前回決算報告で失望的な見通しを示したため、下落に拍車がかかりました。

最近、二人のアナリストが格下げを行なっており、ベンチマークのアナリストは、売りのレーティングを出すまでに至っています。

これは、モバイルアプリ開発者向けの収益化ツール「オーディエンス・ピンポインター」に関連するいくつかの問題を経験した後、ユニティが第2四半期の売上ガイダンスを引き下げたことによります。経営陣は、第2四半期の売上成長が6%から8%に減速すると予想しており、これは、この急成長中のビジネスで投資家がこれまで慣れてきた水準を大きく下回るものです。

しかし、ガイダンス下方修正にともなう株価の下落は明らかに行き過ぎだと思われます。収益化ツールの問題は設定ミスによる一時的な失敗であり、CEOは「我々は問題を理解しており、その対処は十分に進んでいる」と説明しています。事業の長期的な方向性は影響を受けておらず、適切な対処が行われれば、同社は再び以前の成長軌道に戻る可能性が高いと思われます。

ベンチマークのアナリスト、Mike Hickey氏は、2020年のパンデミック時と比較して、今年はプレイヤーがゲームに費やす時間が少ないことを懸念し、「売り」に格下げしました。しかし、ゲームは依然として成長産業であり、今後何年にもわたってユニティのビジネスを牽引するはずであり、このような評価は短期的な物差しによるものと考えられます。

ユニティのソフトウェアとマネタイズサービスはゲーム開発者に広く利用されており、アナリストがゲーム業界の動向に細心の注意を払うのもそのためです。同社は、ゲーム開発者に2Dおよび3Dコンテンツを作成するためのツールを提供しています。これらのソフトウェアツールのサブスクリプション収入を含むユニティのクリエイト・ソリューション事業は、ゲーム以外でも航空宇宙、医療、建設などの業界で人気を博しています。

さらに、ユニティのオペレート・ソリューション事業は、ゲーム会社がゲーム内のプレイヤーの収益化、コンテンツのアップデートリリース、ビジネスの成長などを支援するさまざまなサービスを利用できるようにします。

2020年の急増の後、ゲーム業界が減速したにもかかわらず、ユニティは2021年に44%の売上成長を記録しました。これは、41%増のクリエイト・ソリューション事業と51%増のオペレート・ソリューション事業によるものであり、両事業のバランスが取れています。

しかも、昨年はユニティで作られたゲームの数が93%も増加しました。最も重要なのは、同社のソフトウェアを使用するクリエイターの数が31%増加したことです。これは時間をかけて追加サービスをアップセルする新たな顧客層を獲得したことを意味し、経営陣が掲げる成長戦略の重要な部分を担う顧客となることが期待されています。

経営陣は、前四半期に発生した問題が2023年に持ち越されることはないと見ており、ユニティは今後数年で回復し、以前のような成長を取り戻すと期待されます。Newzooは、ゲーム産業の規模は2022年に2000億ドルを超え、2027年までに3000億ドルに達すると予想しています。

ほとんどのアナリストは、ユニティの障害は一時的なものだと見ています。アナリストのコンセンサス予想では、ユニティは2026年までに年間売上高を3倍以上の37億ドルに増やすとされています。これは、年率30%前後の売上成長を目指す経営陣の長期目標とも一致します。

今年起こった暴落は、メタバースで新たな成長機会を見出せるこのソフトウェア銘柄の株式をバーゲン価格で購入できる絶好の機会を与えてくれています。

*過去記事「ユニティ 自ら招いたミスで37%の暴落

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