多くの半導体アナリストがマクロ経済リスクを理由にほぼすべての半導体企業の業績予想を引き下げている中、その流れに抗する形でキーバンク・キャピタル・マーケッツがある半導体株の格上げを発表しています。
6月12日にアナリストのジョン・ヴィン氏は、クアルコム(QCOM)の目標株価を200ドルから220ドルに引き上げ、オーバーウエイトの格付けを再確認しました。
「アップルとサムスンの両方においてより高い(市場)シェアを得ると予想できるために、我々は引き上げている」と同氏は書いています。
今年初め、クアルコムは、サムスンの最新のS22携帯電話の約75%が同社のプロセッサを使用していると発表しました(昨年のS21携帯電話のシェアは40%)。
ヴィン氏は現在、モバイルプロセッサと5Gワイヤレスチップのメーカーである同社が、サムスンの次世代携帯電話(2023年発売)向けのスマートフォンプロセッサの唯一のプロバイダになると予想しています。
同氏はまた、アップルが来年に発表するiPhone 15の約60%にクアルコムのモデムを使用すると予測しており、これはクアルコムのガイダンスである20%を上回っています。
ヴィン氏は2023年度のクアルコムの1株当たり利益の予想を13.23ドルから13.74ドルに引き上げる予定です。調査会社ファクトセットによると、アナリストの平均予想は13.26ドルとなっています。
クアルコムの株価は今年30%下落し、ICE Semiconductor Indexのパフォーマンスに連動するiShares Semiconductor ETF(SOXX)の32%下落にほぼ匹敵する下落幅を記録しています。
4月、クアルコムは3月期の業績が予想を上回ったことを明らかにし、今期についてもコンセンサス予想を上回るガイダンスを発表しました。クアルコムの経営陣は、バリュー志向の携帯電話よりも売れ行きの良いハイエンドのプレミアム携帯電話にウエイトを置いているため、弱含みのスマートフォン市場をアウトパフォームできたと述べています。
キーバンクの予想が正しければ、クアルコムは来年にかけて他の半導体銘柄よりもはるかに良い業績を上げることになります。