Googleの親会社であるアルファベット(GOOG/GOOGL)は、7月15日に1株を20株に分ける株式分割を実施する予定です。この分割により、アルファベットの株価は約2,300ドルから115ドルに下がりますが、実際に時価総額やバリュエーションが変わることはないと思われます。
とはいえ、株価が下がることで個人投資家の注目を集める可能性はあります。また、オプション取引では、オプション1枚が100株に相当するため、流動性が高まる可能性もあります。また、株価が低くなることから、いずれは価格加重方式を採用しているダウ平均に採用される可能性もあります。
株価はこの1年間の最高値から23%下落していますが、株式分割を前にアルファベットを買うべき4つの理由があります。
無敵の広告ビジネス
第1四半期、アルファベットは売上の80%をGoogleの広告ビジネス(YouTubeを含む)から得ていました。同社の広告ビジネスもマクロ的な逆風と無縁ではなく、不況とCOVID-19のパンデミックの両方で一時的な減速を余儀なくなされましたが、そうした不況から常に立ち直ってきた歴史を同社は持っています。
2011年から2021年の間に、Googleの年間広告収入は365億ドルから2095億ドルに増加し、年平均成長率は19.1%に達しました。eMarketerは今年、Googleが米国のデジタル広告市場の27.7%を支配し、メタ・プラットフォームズ(FB )、アマゾン(AMZN )を抑えて首位に立ち、中国以外のほとんどの市場でも首位を維持すると推定しています。
今回も同社は現在のマクロ経済の逆風を乗り切ると予想されることから、市場をリードする同社のデジタル広告事業に投資する絶好の機会が訪れていると考えられます。
拡大し続けるエコシステム
Googleのコアビジネスがこれほどまでに急成長したのは、そのエコシステムが事実上逃れられないものだからです。
世界最大のオンライン検索エンジン、最も広く使われているモバイルOS(Android)、最も人気のあるウェブブラウザ(Chrome)、トップシェアのウェブメールサービス(Gmail)やオンライン地図サービス(Google Maps)、最大の無料ストリーミング動画プラットフォーム(YouTube)を同社は所有しています。また、YouTube Music、Google Workspace、Google Pay、Googleフォトなど、隣接するサービスのリストも増え続けています。
これらのサービスによるデジタルな触手は一貫してユーザーから個人データを収集し、エコシステム全体でより良い広告のターゲットを絞るために使用されています。このアプローチは、特にプライバシー擁護派や反トラスト法規制当局の間で議論を呼んでいますが、広告主にとっては驚くほど効果的です。
急成長するクラウドビジネス
Googleは、アマゾンのAmazon Web Services (AWS)、マイクロソフトのAzureに次ぐ世界第3位のクラウドインフラプラットフォームを運営しています。Canalysによると、第1四半期の世界市場でのGoogle Cloudのシェアは8%で、AWSのシェア33%、Azureのシェア21%と比べても遜色ありません。
Google CloudがAWSやAzureにすぐに追いつくことはないでしょうが、その売上は2019年に53%増の89億ドル、2020年に46%増の131億ドル、2021年には47%増の192億ドル(アルファベットの総収入の7%に相当)となっており、AWSよりも速く、Azureと同程度のペースで成長しています。
Google Cloudは、アマゾンとの連携や、マイクロソフトのエンタープライズソフトウェアの広大なエコシステムに縛られたくない小売業者を惹きつけ、長期的に成長し続けるはずです。このような拡大により、Google の広告ビジネスへの依存度は徐々に低下していくと思われます。
高い成長率と低いバリュエーション
アルファベットは、その規模と多様性により、過去10年間、力強い成長を遂げてきました。今後、アナリストは2022年と2023年に同社の売上高がともに15%増加すると予想しています。今年は支出を拡大するため収益は1%減少するものの、2023年には19%増加すると予想しています。
今後5年間、アルファベットの年間収益は平均約17%成長すると予想されていますが、5年間の株価収益率(PEG)レシオは0.8という低い値となっています。PEGレシオが1.0を下回る銘柄は割安とされることから、アルファベットはその潜在成長力に比して非常に割安に見えます。ちなみに、メタとアマゾンの5年PEGレシオはそれぞれ1.2、3.0となっています。
マクロ経済における広告への逆風や、最近のYouTubeの広告売上の減速に対する投資家の懸念から、アルファベットの株価は今後数四半期に渡って低迷するかもしれません。
しかし、それらはいずれも短期的な事象であり、アルファベットが今後10年間、成長を続ける可能性はかなり高いと思われます。同社が激動する市場の中で揺るぎない投資対象であることは将来にわたっても変わりはないと予想されることから、株式分割を前にした現在は同社をポートフォリオに加える絶好の時期かもしれません。