アップル 2023年にもVR/ARヘッドセットを発売か?

アップル(AAPL)の新製品の発表がどうやら近づいているようです。先週開かれた取締役会で次期複合現実型ヘッドセットがお披露目されことを事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたとブルームバーグが報じています。

同社の取締役会は、8人の独立取締役とアップルのティム・クック最高経営責任者で構成され、少なくとも年に4回招集されています。この会合は非公開で行われたため、関係者は名前を明かさないよう求めているとブルームバーグは伝えています。

この数週間、アップルは rOS (reality operating systemの略)ヘッドセット上で動作するソフトウェアの開発を強化してきたと、この作業に詳しい他の関係者は述べているそうで、こうした状況は、取締役会のプレゼンテーションと相まって、製品のデビューが今後数カ月以内に行われる可能性を示唆しているとのことです。

仮想現実(VR)と拡張現実(AR)の要素を組み合わせたこのヘッドセットは、アップルの次の大きな賭けと見なされています。もし製品が発表されとすると、同社にとってはApple Watch 以来初の主要製品となります。

アップルは、早ければ今年末か来年中にヘッドセットを発表し、2023年に消費者向けに発売することを目標としており、6月のWorldwide Developers Conferenceでの発表を目標としていましたが、コンテンツやオーバーヒートに関する課題があり、延期の可能性があるとブルームバーグは報じています。

アップルの役員会は通常、アップルの正規従業員以外の人間が最初に将来の製品を目にする場となっています。スティーブ・ジョブズ氏がCEOを辞任した2011年には、一般公開の数週間前に音声アシスタント「Siri」のデモンストレーションが役員会で行われました。

お披露目されたと報じられたVR/ARヘッドセットは、アップルの最新Macに搭載されているものと同等の高度なプロセッサーと、超高解像度のスクリーンを備えているとのことです。最初のモデルはVRとARの両方を提供する仕様になっていますが、同社はコードネーム「N421」と呼ばれる独立したARメガネも開発中で、何年か後にリリースする予定とのことです。

VR/ARヘッドセットのコードネームは「N301」で、2015年ごろから開発が進められているとブルームバーグは報じています。同社の副社長であるマイク・ロックウェル氏がプロジェクトの陣頭指揮を執り、アップルの元ハードウェアエンジニアリング責任者であるダン・リチオ氏も監督に当たっているとのこと。同社では、約2,000人の従業員が、Technology Development Group(TDG)と呼ばれるチームの一員として、このデバイスの開発に取り組んでいるそうです。

このグループには、iPhone、iPad、Macのハードウェアおよびソフトウェアエンジニアリングの元リーダーや、NASA、ゲーム、グラフィックス、オーディオなどの業界から採用した主要な人材が揃っているそうですが、この数カ月で主要なエンジニアがメタや他の会社に移籍するという人材流失があったそうです。

もし、このヘッドセットが発売されると、メタ、ソニー、マイクロソフトなど、他のテック大手との競争を激化させることになると思われます。メタとアルファベットのGoogleも、将来に向けてスタンドアローンのARグラスを開発中です。

メタは、アップルのデバイスに似た複合現実型ヘッドセットを今後数カ月のうちに発売すると見られています。コードネーム「Project Cambria」と呼ばれるその製品は、800ドルより高い価格になると言われています。デバイスの開発に詳しい人物によると、アップルのデバイスは2,000ドル以上する可能性があるそうで、昨年、アップルは小売店1店舗あたり1日1台程度の販売になると考えていたとブルームバーグは報じています。

IDCのデータによると、ARおよびVRヘッドセットの市場は昨年92%成長し、1100万台以上となりました。現在、メタのヘッドセット「クエスト2」が市場を独占しており、2021年の販売台数のシェアは78%に達しているそうです。アップルがこのカテゴリーに参入することで、そのマーケティングの手腕と製品のエコシステムの力から、時間の経過とともに業界の市場規模がかなり拡大すると思われるとブルームバーグは見ています。

*過去記事はこちら アップル AAPL

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