ユニティ 自ら招いたミスで37%の暴落

ビデオゲーム開発ツールメーカーのユニティ・ソフトウェア(U)の株価が5月11日、37%減と大きく下落しました。前日に発表した第1四半期の業績が横ばいだったことに加え、四半期および年間の売上がウォール街の予測を下回ったことにより、10日のアフターマーケットから株価は下落していました。

11日の日中の取引では日中安値の29.30ドルを記録し、株価は37%減の30.30ドルで終了しました。株価は現在、11月18日に記録した史上最高値の終値201.12ドルから85%下落しています。

特に下落を招いた大きな原因とされているのが、昨年高い評価を得たアップル IDFA の回避策がうまく機能していないことが判明したことです。

同社の幹部は、アップル(AAPL)が2021年4月にモバイルプラットフォーム上のアプリに対して行った広告トラッキングの変更による影響を受けないコンテクスト広告モデルを使用していることを喧伝していました。

ユニティは、ユーザーエンゲージメントとプラットフォームのパフォーマンスに基づくデータを使用しており、これにより広告の精度をあげることができると誇っていましたが、どうやらそれは間違いだったようです。

開発者がゲームやコンテンツを広告で収益化することを支援するオペレート・ソリューションズ事業の広告製品「ピンポインター」に欠陥があり、不正確なために顧客が支出を減らしていたことが今回の決算で明らかになりました。

アップルからのデータに依存しない広告モデルを使用していると宣伝したため、顧客はこのツールに殺到しましたが、すぐにこのツールでは対応できないことがわかったてしまったようです。

アナリストはこの事実を「自業自得」「自傷行為」「自ら招いた傷」などと呼び、相次いで目標株価を引き下げています。

モルガン・スタンレーのアナリストであるマシュー・コスト氏は、オーバーウェイトのレーティングで、目標株価を110ドルから50ドルに引き下げましたが、ピンポインター・ツールがアップル IDFAの変更によって注目を浴び、「過去1年間にユニティの広告ネットワークを通じた広告費の大半を占めるようになっていた」と効果を発揮しなかった広告ツールの影響の大きさを表現しています。

「我々は、ガイダンスの下方修正の最も大きな要因は、1Q/2Q初頭の広告ネットワークのパフォーマンスの弱さに顧客が反応して広告費を引き下げたことであると考えている。中核的な問題は解決されたものの、機械学習アルゴリズムの再教育や、今年初めに離れていった広告費を取り戻すには時間がかかるだろう」と同氏は分析しています。

同氏はまた「これらの問題を修正するために再配置されたエンジニアは、’22/’23年の後半まで彼らの他のプロジェクト(その多くは増収に貢献するはずだった)を延期することを余儀なくされており、ガイダンス(の修正)は二次的影響を含むと考えている」とも述べています。

ジェフリーズのアナリストAndrew Uerkwitz氏は、”Self-Inflicted Wound “と題したノートの中で、格付けをホールドとし、目標株価を100ドルから40ドルに引き下げました。「独自の悪い顧客データ」が悪いターゲティングを生んでいると述べています。

Uerkwitz氏は、「2月から3月にかけて、ユニティは対競合他社に劣勢でシェアを奪われた。さらに追い打ちをかけるように、システムの冗長性の欠如により、ハードリセットの代わりに、ユニティは正しいデータを使って再学習する必要があり、これには時間がかかる」と述べています。

格付けをアウトパフォームとし、目標株価を125ドルから70ドルに引き下げたウェドブッシュのアナリストMichael Pachter氏は、「自業自得の傷は第4四半期の初めには解決されるはずで、年間30%以上の売上成長という軌道を取り戻すことができるはず だ」と述べています。

そして「我々は、ユニティが我々のモデルをはるかに上回る速度で成長することは十分に可能であり、可能性が高いとさえ考えているが、先四半期の同社の自傷行為の大きさを考えると、比較的低いハードルを設定することが賢明であると考えている」と付け加えています。

シュティフェルのアナリストJ. Parker Lane氏は、買いの格付けで目標株価を150ドルから100ドルに引き下げ、「ユニティのモバイルゲーム分野での強いポジショニングとマネタイズツールの拡大により、同社はタイムリーに軌道に乗り、年が進むにつれ売上成長が回復するだろう」と予想しています。

「全体として、我々は、非ゲーム事業については、成長機会の長い滑走路を提供し続けると信じており、オペレート事業の安定化は、30%以上の長期成長見通しに向かって会社を駆動するのに役立つ」と同氏は見ています。

ファクトセットのデータによると、ユニティを担当する18人のアナリストのうち、14人が買い評価、3人がホールド評価、1人が売り評価となっています。これらのアナリストのうち、11人が11日に目標価格を引き下げた結果、平均目標価格は前回の139.31ドルから79.63ドルになっています。

*過去記事「どんな不況下でも買い持ち続けるべき2つのモンスター成長株

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