マイクロソフトの傑出した決算がクラウドコンピューティング革命の継続を証明

クラウドコンピューティングの革命が続いています。マイクロソフト(MSFT)とアルファベット(GOOGL)両社の決算報告によって、企業の技術支出がマイクロソフト・Azure、グーグル・クラウド、アマゾン・ドット・コムのAWSなどのクラウド大手に積極的に移行し続けていることを示す、説得力のある新しい証拠が示されました。インフレ、製品不足、コロナ、ヨーロッパでの戦争に悩む世界において、クラウドコンピューティングの目覚ましい成長は衰えることを知らないようです。

マイクロソフトの3月31日に終了した第3四半期の売上高は494億ドルで、前年同期比18%増、コンセンサス予想を20億ドル近く上回りました。最近買収したニュアンス・コミュニケーションズ(Nuance Communications)の一部業績、予想を上回る為替の逆風、ロシアでの新規事業停止による若干の打撃など、数字にはノイズが含まれていますが、同社はクラウド、アプリケーション、パーソナルコンピューティングの3事業分野すべてで予想を上回る業績を上げました。

Azure、Office 365 Commercial、LinkedInのコマーシャルビジネス、Dynamics 365を含む同社の「コマーシャルクラウド」事業の売上高は合計234億ドルで、前年同期比32%増、マイクロソフト・クラウド事業の経営規模は約1000億ドルとなりました。

当四半期のコマーシャルブッキングは予想を上回り、28%増、為替調整後では35%増。Azureは46%(為替調整後では49%)成長し、アナリストの予測を大きく上回りました。また、6月期のAzureは為替調整後で47%増となり、こちらもストリート予想を上回るものです。

アルファベットは混迷する四半期を報告し、特にYouTubeの広告事業が低調でした。しかし、44%成長したグーグル・クラウド事業には何の問題もなく、250億ドルの年間売上に近づいています。両社の好調な結果は、4月28日の市場終了後に3月期の決算を発表するアマゾン(AMZN)への期待感も高まらせています。

マイクロソフトの6月期のガイダンスは、クラウドおよびアプリケーション事業については、これまでのストリート予想を上回ったものの、「よりパーソナルなコンピューティング」セグメントについては、特に中国での製造停止を反映して、予想を下回る内容となりました。しかし、ストリートはこの要因をほとんど無視し、代わりに好調なクラウド事業のパフォーマンスに注目しています。

シティのTyler Radke氏は、この好調な業績について、「買い」のレーティングを継続し、目標株価を355ドルから364ドルに引き上げています。同氏はリサーチノートの中で、「悪化するソフトウェア株をめぐるセンチメントをよそに、マイクロソフトは第3四半期に主要収益部門で見事に(予想を)上回り、安心できる見通しを示した」と述べています。

同氏は、この四半期の好調な売上高に特に感銘を受け、「ソフトウェアのファンダメンタルズが全体的に弱体化しているという一般的なシナリオを覆す」ことになると考えています。この結果はクラウドベースのモデルを持つ他のソフトウェア企業にとってもポジティブだと考えており、特にエラスティック(ESTC)、スノーフレーク(SNOW)、モンゴDB(MDB)、コンフルエント(CFLT)、データドッグ(DDOG)を勝者となり得る企業として挙げています。

パイパー・サンドラーのアナリスト、Brent Bracelin氏も同様の指摘をしており、27日のリサーチノートで、「クラウド需要は、世界的なリスク要因の激化しているなかで、2022年初頭の数少ない明るい話題の1つであり続ける」と書いています。

同氏は、マイクロソフトとアルファベットのクラウド事業の業績が予想を上回ったことについて、「パンデミックの二日酔いと経済状況の悪化によって引き起こされるクラウド減速の可能性に対する投資家の懸念は、これまでのところ過度にネガティブな物語であることが証明されたと確信できる」と付け加えています。

11月1日以降、クラウド株大手100社は平均41%下落しており、クラウド業界の回復力を示す新たな証拠があれば、投資家の恐怖心を鎮め、クラウド株を押し上げる可能性があるとBracelin氏は分析し、クラウドソフトウェアの売上は10年後までに3倍の1兆ドル以上に達する可能性があると見ています。「クラウドの最盛期はまだ先かもしれない」というのが同氏の見解です。

エバーコア ISI のアナリストである Kirk Materne 氏も、この四半期のレビューで、クラウドの話題は今後も続くと、同様の指摘をしています。「マイクロソフトの決算とガイダンスは、クラウド需要とデジタル化の原動力となる長期的なトレンドが損なわれていないことを思い出させるものであり、3~6カ月の視野で見れば、マイクロソフトや他の大手企業向けソフトウェア株は、現在の水準で魅力的なリスクとリターンの機会を提供すると考える」と書いています。

ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブズ氏は、昨年秋に始まった長い下落の後、マイクロソフトの四半期がハイテク株にとって極めて重要な瞬間となる可能性があると見ています。

同社が「時代をリードするクラウドガイダンス」を提供し、ハイテクセクター全体にポジティブなデータポイントを提供すると、同氏はリサーチノートに記し、「FRBの利上げとインフレ問題は経済を減速させるが、クラウド支出はデフレであり、最終的にはマイクロソフトが先導する加速路線に乗っていると見ている。我々はこれをブロウアウト(一気呵成)と特徴付けるだろう」と述べています。

*過去記事はこちら マイクロソフト MSFT

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