インフレ耐性の強い3つのハイテク株

インフレは、多くの成長ハイテク銘柄に打撃を与えています。金利の上昇は利用可能な資金を減らし、債券投資の魅力を高めますが、これらはいずれも成長株にとって悪い材料です。

しかし、一部のハイテク株は、インフレ環境下でもより高い収益を上げることができるビジネスモデルを構築しています。そんなハイテク株をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。

アマゾン(AMZN)

アマゾンの株価は、ロックダウンが解除され、消費者がオフラインのショッピングを行うようになっため、昨年は苦戦を強いられました。

それでも、インフレが進む中、アマゾンが再び注目されるのは、主に2つの理由があるからです。1つは、同社のeコマース部門が低コストであることです。これは、可能な限りお金を節約したいと考えている消費者へのアピールポイントとなります。

もう1つは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の導入によるお金の節約です。IT部門は以前からコスト削減のためにクラウドを利用してきましたが、物価の上昇により、この技術を採用する理由がまたひとつ増えたことになります。

また、アマゾンの売上高の伸びが一時的に鈍化していることも買い材料になりそうです。2021年の売上高は22%増の4,700億ドル、利益は57%増の334億ドルに急伸しました。それでも第1四半期は、3%から8%の間で、利益が劇的に減少すると予測しています。この減速が、アマゾンの株価が昨年1年間で8%下落した要因となっています。

しかし、株価収益率(PER)は48と数年来の低水準であり、その成長性からインフレの嵐から株主を守ることができるため、アマゾンの魅力は増しています。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

デジタル・リアルティ・トラスト(DLR)

デジタル・リアルティ・トラストは、世界のおよそ300カ所でデータセンターを所有・運営する不動産投資信託(REIT)として事業を展開しています。

インフレ率の上昇により、デジタル・リアルティにはさらなる追い風が吹いています。同社は、データセンター用に建設された不動産を運営しており、電力供給、気候制御、物理的なセキュリティを提供しています。

IT のクラウド化が進む中、データセンターに対する需要の高まりから、同社は長い間恩恵を受けてきました。そして、他の不動産関連投資と同様、データセンターREITはインフレ・ヘッジの役割を果たすことができます。ドルの価値が下がるにつれ、供給が比較的伸びないため、不動産は賃料の上昇と価値の上昇によって高い収益を得ることができます。

この傾向により、2021年の売上は2020年比13%増の44億ドル超となりました。REITのキャッシュフローを示すAFFO利益は18億ドル超、1株当たり6.25ドルとなりました。これは前年比33%増です。

このAFFO利益は、現在の1株当たり4.88ドルの配当金を容易にカバーでき、現在の株価で約3.4%のキャッシュリターンとなります。さらに、2013年の創業以来、配当は毎年上昇しています。データセンターがハイテク業界と不動産業界の双方にとってより重要になるにつれ、この配当金と株価は長期にわたって上昇し続けるものと見られます。

ペイパル(PYPL)

一見、消費者が支出を抑えようとするため、インフレがペイパルを苦しめるかもしれないように思われますが、ペイパルは、主に取引のパーセンテージを取ることでビジネスを展開しています。したがって、名目上の支出が増加すれば、売上も増加することになり、インフレはマイナス要素ではありません。

また、ペイパルはこのような環境下で消費者に利益をもたらす可能性のある機能を追加で提供しています。クーポンアプリ「ハニー」は、3万以上の業者から割引を受けられます。さらに、同社の急成長中のBNPL(Buy Now, Pay Later)事業は、金利に直接結びつかない融資オプションです。つまり、借り手はクレジットカードではなく、このオプションで購入資金を調達することができます。

同社は、フィンテックの波に乗り続けています。2021年の売上高は前年比17%増の250億ドル超。当期純利益はこの間2%減の42億ドル弱でしたが、これは戦略的投資によって収入が激減したためでした。

株価は大きく下落しています。かつての親会社eBayからの分離が完了し、新規ユーザーを増やすのではなく、現在の顧客に重点を置くようになったことで、一部の投資家はそれを嫌い離れました。ペイパルの株価はこの1年で60%近く下落し、パンデミック時代の上昇分がすべて吹き飛んでしまいました。

しかし、ペイパルは今後1,500万から2,000万人の新規ユーザーを獲得することを見込んでいます。その32のPERも過去最低に近く、さらに成長することでカムバックする可能性が高まっていることを示しています。

*過去記事はこちら ペイパル PYPL

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