クラウド・コンピューティング市場は、多くの企業がビジネスをオンライン化したことにより、過去10年間で大幅に拡大しました。インターネットの高速化により、より多くのデータをオンラインで処理し、オンプレミスのソフトウェアをサブスクリプションベースのクラウドサービスに変換することが実用化されました。
しかし、この高成長市場はまだ成長を止めてはいません。Markets and Marketsによると、世界のクラウドコンピューティング市場は、2021年から2026年にかけて、複合年間成長率16.3%でまだ拡大する可能性があります。企業がより多くのクラウドベースのサービスを活用し、業務の効率化やモバイルアプリとウェブサイトの成長をサポートし、新しい機械学習とAI技術を活用してデータを分析するためです。
そんなクラウド関連で長期的に素晴らしいリターンをもたらしてくれる可能性のある銘柄をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。
アルファベット(GOOG/GOOGL)
アルファベットのGoogleは、今のクラウド市場では劣等生のように見えるかもしれませんが、実はこの分野で最も急成長している企業の一つです。
2021年のGoogle Cloudの売上は前年比47%増の192億ドルで、アルファベットのトップラインの7%に相当します。Canalysによると、世界のクラウドインフラ市場における同社のシェアも同年第4四半期に2ポイント上昇して9%となり、パブリッククラウド競争においてアマゾン(AMZN)のAWSの33%、マイクロソフト(MSFT)のAzureの22%に続く第3位に定着しました。
Googleは引き続き大口顧客を引きつけており、特にマイクロソフトの他の企業向けソフトウェアに縛られたくない小売業者や、アマゾンの最も収益性の高い事業の成長の糧にされたくない小売業者などが多くなっています。
Google Cloudの営業損失も2020年の56億ドルから2021年には31億ドルに縮小しており、規模の経済が効いてきていることを示しています。より多くの顧客を囲い込み、価格を引き上げるため、こうした損失は今年も縮小していく可能性があります。
アルファベットは現在も、売上の大半と利益のすべてを中核となる広告事業から得ています。しかし、オンライン検索エンジン、YouTube、Android、Chrome、Gmail、Google Drive、その他のサービスなど、そのエコシステムの多くは、クラウドに基づいています。
この広大なエコシステムにより、アルファベットはクラウド市場の持続的成長に対して最も多角的に取り組んでいる企業の1つとなっています。アナリストは、同社が当分の間、2桁の売上成長率と安定した利益を上げ続けると予想していますが、株価は将来利益のわずか25倍と、まだ割安に見えます。
クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)
かつて、エンタープライズ・グレードのサイバーセキュリティ・サービスのほとんどは、オンサイトのアプライアンスをインストールする必要がありました。このアプローチは高価で、定期的なオンサイト・メンテナンスが必要であり、組織の成長に合わせて拡張することが困難でした。2011年に設立されたクラウドストライクは、アプライアンスを必要としないクラウドネイティブプラットフォームでこれらの問題に対処しています。
同社のプラットフォーム「Falcon」は、モバイルデバイス、ラップトップ、デスクトップ、IoTデバイスなどのネットワーク・エンドポイントを悪意ある攻撃から保護します。同社は通常、4つのクラウドベースのモジュールのスターター・トライアルで顧客を誘い、追加モジュールのクロスセルを行います。前四半期では、57%の顧客が5つ以上のモジュールを使用していました(前年同期は47%)。
今年1月に終了した2020年度から2022年度にかけて、クラウドストライクのサブスクリプションの顧客総数は5,431社から16,325社と3倍以上に増加しました。2022年度の売上高は66%増の14億5,000万ドルに急増し、2023年度も47%~49%増を見込んでいます。
クラウドストライクの株価は今年の売上の23倍と安くはありませんが、他の多くの「ハイパーグロース」銘柄に比べると、妥当な株価対売上比率で取引されています。
クラウドストライクは、一般に認められた会計原則(GAAP)ではまだ利益を出していませんが、過去2年間は非GAAPベースで黒字を維持しています。そして、今年の非GAAPベースの純利益は56%~70%増加すると見込んでいます。
この不安定な市場で同社の株価は不安定な状況が続くかもしれませんが、クラウドを利用したサイバーセキュリティ分野の変革に取り組む最良の企業の1つであることに変わりはありません。
*過去記事はこちら クラウドストライク CRWD
データドッグ(DDOG)
組織が成長するにつれ、IT専門家が断片化した幅広いプラットフォームの中からハードウェアとソフトウェア・プラットフォームを診断することはますます難しくなっています。データドッグは、それらのサービスをすべて同時に監視し、統一されたダッシュボードにリアルタイムデータを集約することで、その問題を解決しています。
データドッグのクラウドベースのサービスは、企業がハードウェアやソフトウェアの災害を未然に防ぎながら、時間とコストを大幅に削減するのに役立ちます。2021年の売上高は70%増の10億3,000万ドル、非GAAPベースの純利益は133%増の1億6,700万ドルと、たくましく成長しているのはそのためです。また、同年の第4四半期にはGAAPベースでの黒字化を実現しました。
2019年第4四半期から2021年の間に、10万ドル以上の年間経常収益(ARR)を上げたデータドックの顧客総数は、858社から2,010社へと2倍以上に増加しました。また、既存顧客の売上が前年と比べて維持できているかを示す指標であるネット・リテンション・レートはドルベースで18四半期連続で130%以上を維持しています。
データドックは、2022年度に売上高が47%から49%成長すると見込んでおり、アナリストは、調整後の1株利益が6%増加すると予想しています。
データドックの株価は今年の売上高の28倍と割高に見えるかもしれませんが、その強固な成長率、収益性の向上、高成長のニッチ市場におけるアーリーマーカーの優位性などから、その高い評価額は正当なものだと評価できるものです。
*過去記事はこちら データドッグ DDOG