Statistaによると、2021年の電子商取引による小売売上高は世界で4兆9,000億ドルに達し、2025年には7兆3,000億ドル超に成長すると予想されています。昨年は米国だけでそのうちの7,680億ドルを占めました。
今やeコマースは幅広く浸透しつつあり、かつては縁がないと思われた老舗の企業もどんどん参入しています。この急成長中のセクターで今買うべき銘柄をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。
オライリー・オートモーティブ（ORLY）
オライリー・オートモーティブは、自動車部品、工具、アクセサリーなどの自動車アフターマーケット製品を専門業者（2020年度売上高の41%を占める）やDIY向け（同59%）に販売する大手小売会社であり、オンラインショッピングとはあまり縁がないと思われてきました。
しかし、同社の現在の成長戦略は、オムニチャネルに焦点を当てたものになっています。プロフェッショナル・サービスプロバイダーは、オライリー独自のプラットフォームを使って注文し、現地で配送を受けることができるようになりました。同時に、DIYの個人顧客も同社のウェブサイトから同じことができます。
オライリーはまた、新車・中古車市場の大幅なインフレの恩恵を受けています。ディーラーと交渉してメーカー希望小売価格（MSRP）を大幅に下回る価格で購入できた時代は過ぎ去りました。在庫の減少と新車の価格上昇のおかげで、中古車価格は過去1年間で40％以上上昇しています。その結果、多くのドライバーが車を長く保有することになり、プロのサービス業者とDIYカーオーナーの両方からの部品需要が堅調に推移することは間違いないと思われます。
2021年の売上高は15％増の133億ドルと素晴らしい数字を残しています。希薄化後の1株当たり利益（EPS）も昨年は32％増の31.10ドルに達しています。これは同社の自社株買いプログラムによるもので、2021年だけで総額25億ドル近くを実行しました。オライリー株は過去1年で40％以上上昇しており、同社は長期的に目覚ましい成長を継続すると予想されています。
ターゲット（TGT）
大手総合小売会社であるターゲットもまた、eコマースを取り入れ、近年大成功を収めた小売業者です。2021年度の既存売上高は12.7％増、デジタル成長率は20.8％を記録しました。
さらに素晴らしいことに、この業績はCOVID-19による2020年度の145%の既存オンライン売上高の成長に続くものです。昨年の同社の総売上高1,046億ドルのうちデジタルは19％を占め、ターゲットはそのデジタル売上の95％を既存の店舗であげているため、既存の資産の有効活用ができています。そうしたこともあって、ターゲットは、厳しい労働環境にもかかわらず、2021年の営業利益率を増加させることに成功しています。
ターゲットは1967年以来、配当金の支払いを欠かしたことがありません。また、50年にわたり増配を続けています。配当金の利回りは現在約1.7％です。これは特筆すべき数字ではありませんが、着実に上昇する配当は、時間とともに株主の実質利回りを上げることになるはずです。
アマゾン・ドット・コム（AMZN）
eコマース銘柄を語る上で、アマゾン抜きでは語れません。特に、最近発表された株式分割の後ではなおさらです。経営陣は、同社が20:1の株式分割を行い、2022年6月6日に分割調整後の取引を開始すると発表しています。個人投資家は以前からこの分割を切望していました。
株式分割が最も大きなインパクトを与えるのは、同社がダウ平均に採用される可能性があることだとお思われます。ダウの計算方法上、数千ドルで取引されている銘柄を指数に加えることは現実的に不可能です。アマゾンの株式が分割されれば、組み入れの有力候補になる可能性があります。
今回の株式分割の発表で霞んでしまいましたが、100億ドルの自社株買いの承認が合わせて発表されたことも注目です。これは同社の発行済み株式数を大きく減らすものではありませんが、経営陣が現在の株価が過小評価されていると感じていることの表れだと解釈できます。そして、今後さらに自社株買いが増える兆候かもしれません。
同社のeコマース事業は2021年、COVID-19に伴う追加人件費と物流費の増加に関連する厳しい逆風に見舞われました。これはアマゾンの北米と海外セグメントのマージンを圧迫しました。
しかし、AWSは例年通り、そうしたマイナスを埋めることに貢献しました。クラウドコンピューティング事業の売上高は37％増加して2021年には620億ドルに達し、営業利益率は30％を達成しています。
これにより、同社は通年で4,698億ドルという過去最高の売上高を達成しました。アマゾンは今後、ネット通販の逆風が収まれば、簡単に市場を上回る実績をあげることができると思われます。
＊過去記事はこちら アマゾン AMZN