今週の市場は、ロシアのウクライナ侵攻、原油価格の高騰、インフレ懸念、今後の金融引き締め環境など、混乱した状態でスタートしました。
S&P500種株価指数は今年10%近く下落しており、この水準を超えると調整局面に入ります。ハイテク企業の多いナスダックは11月の高値から17%下落しており、20%の弱気相場と投資家にとっては気が重い領域が近いづいてきました。
ウォール街のいわゆる恐怖指数であるCBOEボラティリティー・インデックス(通称VIX)は3月7日に33を超え、米国がコビッド19パンデミックの第2波の恐怖に直面した2020年10月以来の高い値を記録する勢いでした。VIXが30を超えた場合、通常、今後30日間の株式の見通しについて投資家が大きな恐怖を抱いていることを示しています。
このような不安定な市場では、先週のロシアによるウクライナの原子力発電所への攻撃で株価が急落したように、たった一つの良いニュースや悪いニュースがすべてを左右することがあります。
そんなか注目されているのが3月8日開催されるアップル(AAPL)の特別イベント「Peek Performance」です。日本国内向けの通知メールでは「最高峰を解禁。」とのタイトルが記されていた今回のイベントでは、新しいiPhone、Mac、iPadなどの発表があるものと期待されています。
世界で最も価値のある上場企業として、またビッグテックのリーダーとして、アップルに関するニュースは、テクノロジーセクターだけに止まらず、他の株式市場にも大きな影響を与える可能性があります。
アップルはS&P500とナスダックの両指数において、単独で最大かつ最も影響力のある構成銘柄です。インフォメーション・テクノロジーはダウ平均株価の最大のセクターであり、アップルもこのセクターに属しています。アップルに関する悪いニュースやセンチメントの悪化は、ハイテク投資家の神経を逆なでするだけでなく、アップルとインフォメーション・テクノロジー・セクターの両方が指数に占める比重が大きいため、市場全体に圧力をかける可能性があります。
逆のニュースの時も同様です。1月、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ対策として年内に何度も利上げを行うとの観測から投資家がパニックに陥り始めたとき、ビッグテックが示した好材料がシナリオの転換を促しました。アップルとマイクロソフト(MSFT)の決算報告は、翌日の米株価指数先物の好転につながりました。8日の特別イベントで前向きなニュースが報じられた場合、同様のことが起きるかもしれません。
現在のような不安定な市場では、先週のロシアによるウクライナの原子力発電所への攻撃で株価が急落したように、たった一つの良いニュースや悪いニュースがすべてを左右することがあります。アップルの注目度の高い製品発表会は、好転のきっかけを作る可能性もあれば、投資家の懸念を増幅させる可能性もあります。
ブローカー兼投資銀行のウェドブッシュは、アップルを「アウトパフォーム」と評価し、目標株価を23%上昇を意味する200ドルとしていますが、8日の「Peek Performance」イベントでは、3つの発表があると予想しています。それは、より手頃な価格のiPhone SE、新しいiPad Air 5、そして新たな13インチMacBook Proのような少なくとも1つのMacのリリースです。
ウェドブッシュの著名アナリスト、ダン・アイブス氏は、「アップルが、この市場の嵐の中で所有することが安全なハイテク株だと信じている」と3月6日付けのノートで述べています。
*過去記事はこちら アップル AAPL