銀行に人工知能を搭載した融資プラットフォームを提供するフィンテックのディスラプターであるアップスタート（UPST）が2月15日に発表した第4四半期決算は、失望する点を見つけるのが困難なほど素晴らしいものでした。
その決算のハイライトは以下のようなものです。
・アップスタートのプラットフォームは、第4四半期に41億ドルのローンを組成するために使用され、これは2020年の同四半期の4倍以上のボリューム。
・レートリクエストのコンバージョンは17%から24%に増加し、アップスタートのローンオファーが消費者にとってますます魅力的になっていることを示している。
・3億500万ドルの売上から5,890万ドルの純利益を生み出す。純利益率は19%で、これは他の急成長中のフィンテック企業のほとんどが嫉妬するような数字。
・通年の純利益は1億3,500万ドルで、何年も一貫して利益を上げる結果を出す。
・2022年、アップスタートは14億ドルの売上を見込んでおり、これは2021年と比較して65%の成長率。
・4億ドルの自社株買いの認可を発表。決算前のアップスタートの株価は、2021年の高値から75%以上下落しており、これは経営陣が株価を割安と評価していることを示す。
これまでのアップスタートの融資量のほとんどが、多くの銀行パートナーを通じて組成された個人向け融資でした。しかし、2022年のガイダンスでは、非常に期待されている自動車ローン事業のガイダンスを発表するという、これまでやってこなかったことを行いました。
アップスタートは、通年で約15億ドルの自動車取引量を予想しています。これは、第4四半期の時点で年間160億ドル以上のローンを提供していることを考えると、かなり小さいと思われるかもしれませんが、いくつかの点に留意する必要があります。
ひとつは、自動車ローン事業が稼働しているものの、これまでのところ、事業の重要な部分を占めていないことです。昨年のプロディジー・ソフトウェア（アップスタート・オートレンディングにブランド変更）の買収で実質的にはゼロからのスタートでしたので、これほど早く10億ドル規模の事業にまで拡大したことは素晴らしいことです。
もうひとつは、自動車ローン市場は年間7,270億ドルという巨大な市場であり、自動車ローンの急速な成長は非常に有望な兆候と言えます。多くの投資家が、アップスタートが自動車ローン業界で大きな市場シェアを獲得できるかどうかについて懐疑的な見方をしているのは当然ですが、アップスタートが迅速に牽引力を得られれば、そのような不安は解消される可能性があります。
アップスタートの個人向け融資の成功は素晴らしいものでしたが、上場以来、投資家がこの銘柄に非常に興奮している理由はそれだけではありません。
その理由は、このプラットフォームの成功を他の融資形態、特に自動車ローンや住宅ローンに応用できる可能性があるからです。これらの市場はいずれも巨大であり、特にサブプライム層においては、融資方法の変革が強く求められています。
アップスタートの経営陣は、自動車ローンのガイダンスを初めて示したことに加えて、2023年に住宅ローンの提供を開始すると決算説明会で述べたことも注目に値します。自動車ローン市場は大きいですが、4.6兆ドル規模の住宅ローン業界とは比較になりません。
アップスタートは個人向け融資でそのコンセプトが有効であることを証明しました。そして、同社が2022年に自動車ローンで期待される牽引力を満たすか、それ以上の成果を上げることができれば、同社のモデルがより規模が大きく、競争の激しい融資形態でも成功することを市場に確信させるのに大きく貢献することになります。そして、それが実現すれば、投資家に大きな利益をもたらすことになります。
＊過去記事はこちら アップスタート UPST