ウォルト・ディズニー(DIS)は2月9日、予想を上回る四半期業績と売上高を発表しました。重要な指標であるDisney+の加入者数についてもウォールストリートの予想を上回っています。また、テーマパーク事業も予想を大幅に上回りました。
これはテーマパークのパンデミック後の回復が今日の売上を押し上げ、ストリーミング加入者の増加が将来の経常的な利益を約束するという、ディズニー株の強気派が描いていたシナリオが現実になったことを意味します。
ここ数四半期は、ストリーミング配信の成長が鈍化し、パークは依然としてコロナウイルスの感染の影響を受けており、ディズニーの株価は下落していました。今回の決算の内容は、そのようなネガティブなシナリオから脱却したことを示しています。
決算発表後の時間外取引で株価は7%増で取引されています。
12月に終了した第1四半期の業績は、調整後の1株当たり利益が1.06ドルと、前年同期比で231%増加し、アナリストによる74セントのコンセンサス予想を上回りました。
売上高は、コンセンサス予想203億ドルに対し、34%増の218億ドルとなりました。第1四半期の営業利益は約33億ドルとなり、コンセンサス予想の20億ドルを上回り、前年同期比で145%増加しました。
回復が遅れていたテーマパーク部門の売上高は72億ドルで、前年同期の2倍以上となり、営業利益は約25億ドルとなりました。
アナリストたちは、売上高が前年同期比77%増の64億ドル、営業利益が前年同期の赤字から14億ドルの黒字と予想していました。
世界各地のディズニー・テーマパークはほぼ再開され、クルーズも出航し、ワクチンを接種した大人や子供たちが、戻ってきて消費しようとしています。同社によると、ゲスト1人当たりの売上は、流行前の水準よりも大幅に増加しています。コムキャスト(CMCSA)のNBCユニバーサルも先月、テーマパークの好調な四半期報告を行いました。
ディズニーのCEOであるボブ・チャペック氏は、2月9日に行われた決算説明会で、「過去2番目に良い四半期を記録したテーマパーク部門の業績に、これ以上ないほど満足しています。ここ数年、私たちは新しいストーリーテリングや画期的な技術に投資することでゲストの体験を変革してきました」と述べています。
テレビ、映画、コンテンツ・ライセンス、消費者向け直接販売事業を含む大規模なメディア・エンタテインメント・ディストリビューション部門では、継続的なストリーミング配信の損失が収益性を圧迫しました。
売上高は15%増の146億ドル、営業利益は44%減の8億800万ドルとなりました。コンセンサス予想では、売上高は145億米ドル、営業利益は20億米ドルでした。
ネットフリックス(NFLX)が四半期決算で期待外れの加入者数を発表した後とあって、ディズニーのストリーミング加入者数が注目されていましたが、Disney+の加入者は、3ヵ月間で1,170万人増加し、1億2,980万人の加入者を獲得したことが発表されました。
ウォールストリートでは、平均730万件の純増を予想していましたが、アナリストの間では、100万件の増加から1,590万件の増加までばらつきがあり、ほとんど意見が一致していませんでした。
また、Huluの加入者数は150万人(アナリスト予想120万人)、ESPN+の加入者数は420万人(アナリスト予想80万人)でした。
ハンティントン・プライベート・バンクのシニア・エクイティ・アナリストであるデビッド・クリンク氏は、9日に次のように述べています。「当社の見解では、テーマパークはディズニーの中で最も質の高い資産であり、それがこの四半期のハイライトだった。ストリーミング配信も好調だったが、収益性の面では期待外れになるのではないかと心配している」。
ディズニーの消費者向け直接販売事業の売上高は、前年同期比34%増の47億ドルとなりましたが、コンテンツやマーケティングに費用をかけたため、損失が拡大しました。
当四半期の営業損失は、前年同期比27%増の約6億ドルとなりました。経営陣のガイダンスでは、Disney+が初めて収支均衡を達成するのは、2024年度とされています。
当四半期におけるDisney+の加入者1人当たりの北米での平均月額売上は6.68ドルでした。これに対し、ネットフリックスの同期間の売上は14.78ドルでした。ディズニーの経営陣は、Disney+に提供されるコンテンツが増えれば、将来的には値上げが行われる可能性を示唆しています。
一方、ディズニーは、ストリーミングサービスを利用して、パークのテーマライドを話題にしたり、人形やアクションフィギュアをより多く販売したり、キャラクターやブランドのライセンスを取得したりすることができると、アナリストのクリンク氏は指摘します。
これは、ディズニーのコンテンツやフランチャイズの価値を、購読料以外の方法で収益化するためのもうひとつの手段です。今のところ、市場は気にしていないかもしれませんが、加入者の増加は、いずれストリーミングの利益につながる必要があると思われます。
9日、ディズニーの経営陣は、2024年度末までにDisney+の加入者数を2億3,000万人から2億6,000万人にするという目標を改めて発表しました。前四半期、チャペック氏は、そこに至るまでの道のりは直線的ではないと警告しました。このことは、過去数四半期における加入者数の大きな変動からも明らかです。
ウォールストリートでは、Disney+の加入者数の伸びは、待望のコンテンツが登場し、より多くの国でサービスが開始されるディズニーの2022年度下半期に加速すると予想しています。
「当四半期のDisney+の成功は、何か一つの要因があったわけではなく、有機的な成長と強力な新コンテンツ、すべてのHulu Live契約にDisneyバンドルを含めるという戦略的な決定、そして新たな市場の立ち上げが組み合わさった結果です」と、9日の決算説明会でチャペックCEOは述べました。
「今年度の残りの期間では、当社のブランドやフランチャイズの中から魅力的なDisney+オリジナル作品をお届けします」と同CEOは約束しています。
*過去記事はこちら「ディズニー DIS」