アップル iPhoneが決済端末に

出所:Apple Inc.

アップル(AAPL)は2月8日、iPhoneにTap to Payを導入する計画を発表しました。

まずは米国内で展開されるもので、この新機能により、中小企業から大規模小売店まで、全米の何百万もの加盟店が、iPhoneをタップするだけで、Apple Payや非接触型のクレジットカードやデビットカード、その他のデジタルウォレットをシームレスかつ安全に利用できるようになります。

飲食店や小売店は米決済大手ブロック(旧スクエア)などが提供する専用の読み取り装置を使わなくても、iPhoneさえあれば非接触型ICチップを載せたクレジットカードなどの決済を受け付けることができます。

「Tap to Pay on iPhone」は、決済プラットフォームやアプリ開発者が、自社のiOSアプリに統合して、顧客企業の決済手段として提供することができます。

2022年春、ストライプは、ショッピファイ(SHOP)のPoint of Saleアプリを含め、Tap to Pay on iPhoneを顧客に提供する最初の決済プラットフォームとなります。また、今年後半には、他の決済プラットフォームやアプリも提供される予定です。

Apple PayおよびApple Wallet担当副社長のジェニファー・ベイリー氏は次のように述べています。「決済プラットフォーム、アプリ開発者、決済ネットワークとのコラボレーションにより、個人事業主から大規模小売店まで、あらゆる規模のビジネスが非接触型決済をシームレスに受け入れ、ビジネスを継続的に成長させることをこれまで以上に容易にしています」。

Tap to Pay on iPhoneが利用可能になると、加盟店は、iPhone XS以降のデバイス上で、対応するiOSアプリを通じて、非接触型決済の受け付けることができるようになります。

会計時には、加盟店は、Apple Payでの支払いを行うiPhoneやApple Watch、非接触型のクレジットカードやデビットカード、その他のデジタルウォレットを加盟店のiPhoneに近づけるように促すだけで、NFC技術を使って安全に支払いが完了します。

iPhoneのTap to Payで非接触型の支払いを受け付けるために追加のハードウェアは必要ありませんので、企業はどこでビジネスをしていても支払いを受け付けることができます。

Apple Payは、すでに米国の小売店の90%以上で利用されていますが、今回の機能追加により、規模の大小にかかわらず、ほぼすべての企業が、顧客が会計時にiPhoneのTap to Payを利用できるようになります。Tap to Pay on iPhoneは、今年後半に米国のApple Storeでも展開される予定です。

今後アップルは、決済プラットフォームやアプリ開発者と協力して、米国内の数百万の加盟店にTap to Pay on iPhoneを提供していくそうです。

アップルは、2020年頃からこの新機能の開発に取り組んでおり、クレジットカードをタップするだけでスマートフォンでの支払いを受け付ける技術を開発したカナダの新興企業「Mobeewave」に約1億ドルを支払っています。

この機能には、サードパーティの決済ネットワークが自社のユーザーのためにこのシステムを採用するための技術も含まれています。

ストライプのチーフビジネスオフィサーであるビリー・アルバラド氏は声明の中で、「インターネットを最初に導入した小売店の販売員であれ、個人の起業家であれ、すでにポケットに入っているデバイス、すなわちiPhoneで、すぐに非接触型の支払いを受けられるようになります」と述べています。

今回の展開が、多くの中小企業に利用されているスクエアにどれほどの影響を与えるかはわかりません。バークレイズのアナリストであるRamsey El-Assal氏は、「アップルのTap to Payの搭載が、現在の競争力に重大な影響を与えるとは考えていない」と述べています。

また、この機能は、iPhoneメーカーに対する独占禁止法上の重要な論点にもスポットライトを当てています。様々な決済サービスは、アップルがiPhoneのNFCチップを自社の決済システムであるApple Payのために確保していることを長年にわたって政府に訴えてきました。欧州連合(EU)などは、この慣行についてアップルを調査しています。

今回の新サービスでは、ストライプのような外部ベンダーが機能にアクセスできるようになったことで、こうした懸念が解消される可能性があります。しかし、一部の決済会社は、さらなる相互運用性を求めています。マジックキューブの最高経営責任者のSam Shawki氏は、アップルの新サービスと同様の技術を開発しており、iPhoneのNFCチップを自社のサービスに利用できることを期待しています。

マジックキューブのサービスでは、サードパーティのアプリケーションが Tap to Pay方式でクレジットカードを利用できるようにしています。これまでのところ、iPhoneのハードウェアが閉鎖的であるため、このシステムはAndroid上でしか動作しません。

*過去記事はこちら アップル AAPL

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