買収報道でペロトンが急騰

ペロトン・インタラクティブ(PTON)の株価が、ナイキやアマゾン・ドット・コムを含む複数の企業が、低迷する同社の買収を検討しているとの報道を受けて急騰しました。

株価は、買収対象になったとの報道を受けて2月7日の市場が開けた直後に対前営業日32%増まで上昇し、32.40ドルとなりました。

ペロトンの株価は、同社のコネクテッド・バイクの販売不振、トレッドミルのリコールなどの問題により、2月4日の終値時点で年初来で31%、過去1年間で84%下落していました。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ペロトンの買収候補者の中にアマゾンが含まれていると2月4日に報じ、フィナンシャル・タイムズ紙は、ナイキも候補に挙がっていると報じました。

一方、ウェドブッシのアナリストであるダン・アイブス氏は、「アップルがこの潜在的な取引プロセスに積極的に関与していないとしたら、ショックを受けるだろう」と述べています。

ペロトンは2月8日に四半期決算の発表を控えていますが、今はそこで発表される業績よりも買収報道の方が注目を集めています。

そんな中、アマゾン(AMZN)は、買収先の候補として理にかなっているとの見方があります。ペロトンは、Amazon Web Servicesを利用しており、同社の最高技術責任者は、AWSのカンファレンスで発表を行うなどしているからです。

MKMのアナリストであるRohit Kulkarni氏はこう指摘します。「言い換えれば、アマゾンとペロトンは仕事上の関係を持っている。間違いなく、フィットネスは、書籍、音楽、ビデオ、ゲームに続いてデジタル化される次の消費者体験とみなすことができる。」

もちろん、投資家にとって重要なのは、ペロトンにどれだけの価値があるかということです。

ネットフリックス(NFLX)、ロク(ROKU)、ルルレモン・アスレティカ(LULU)は、来期売上高の5.5~6倍、来期EBITDA(利払い前、税引き前、減価償却前の利益)の25~35倍で取引されているので、2023年度の売上高を50億ドル、EBITDAを3億5000万~4億5000万ドルとすると、ペロトンの適正な株価は34~36ドルになると考えられます。

2019年にアルファベット(GOOGL)はFitBitを買収しました。そのときアルファベットは企業価値/売上高の1倍を支払いましたが、 Kulkarni氏はペロトンの 「ビジネスモデルと全体的な価値提案はFitbitに対する明確なプレミアムに値する」という理由から、ペロトンは企業価値/売上高の2.7倍の倍率に値すると主張しています。そうなると、ペロトンの価格は30ドル前後になります。

この記事を書いている現在(米国東部時間10:54AM )、株価は30.31ドルで取引されており、どうやら市場はそれを正しく理解しているようです。

*過去記事はこちら ペロトン PTON

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