キャシー・ウッド氏が率いるイノベーションに特化した上場投資信託アーク・イノベーションETF(ARK)が最近の市場の混乱の中で暴落していることから、その更なる暴落に賭けようという投資家が増えています。
昨年末、120億ドル規模のアーク・イノベーションETFに対抗するために設定されたタトル・キャピタル・ショート・イノベーションETF(SARK)は、ファクトセットのデータによると、1月25日に9,200万ドルの新規資金流入があり、1日の純流入額としては過去最大となりました。これにより、同ファンドの規模は3億3,400万ドルに拡大しました。
いわゆるアンチアーク・ファンドの記録的な資金流入は、アーク・イノベーションが24日の午前中の取引で9%近く急落した後、2.8%の上昇でその日の取引を終えた後に起こりました。ARKはその後、25日に3.7%下落し、26日にはさらに2.5%下落しました。
ARKファンドは、数ヶ月にわたって損失を出し続けています。FRB(連邦準備制度理事会)がよりタカ派的になり、金利が上昇するのではないかという予想が、ポートフォリオの大半を占める高成長株の重荷となっています。著名な保有銘柄には、テスラ(TSLA)、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)、テラドック・ヘルス(TDOC)などがあります。
今年に入ってから、ARKの40の保有銘柄は、それぞれ10%以上の下落を記録しています。このファンド自体も、現在までに27%下落しており、過去12ヶ月間で価値の半分を失ってしまいました。つまり、スワップ契約を用いてウッド氏のファンドの逆パフォーマンスを目指すタトル・キャピタル・ショート・イノベーションETFが大きく利益を上げているということです。
アンチARKのファンドは11月にデビューして以来1月26日の時点で61%の急騰を記録しているのに対し、アーク・イノベーションは43%の急落を記録しています。
また、タトル・キャピタルのファンドは発売以来、2億9,400万ドルの新規資産を投資家から集めたのに対し、アーク・イノベーションは3億,4700万ドルが流失しました。ただ、ARKの流出は、120億ドルという未だに巨大な規模を考えると、相対的にはそれほど大きくはありません。
アンチARKファンドは、ウッド氏が選んだ銘柄や高額な目標株価に弱気になっている投資家を惹きつけるための、ウォール街の最新の取り組みに過ぎません。ARKファンドは、2020年に見せた圧倒的なパフォーマンスで名を馳せました。破壊的なイノベーションをもたらす銘柄から構成される同ファンドはその年に150%以上の上昇を記録しました。
しかし、イノベーション株の大暴騰により、多くの株が非常に割高になり、まだ利益を出していない企業も少なくありませんでした。ARKファンドは2021年に暴落しましたが、これは投資家が、景気回復の恩恵を受けられる安価なバリュー株を好んだためです。
それでも、この傾向に引き続き賭けることはリスクを伴います。もしアーク・イノベーションがここから立ち直り、2020年のように100%以上のリターンを得ることができれば、アンチARKファンドはほとんどゼロになってしまうかもしれません。