デジタルオーシャン（DOCN）の株価は、2021年に驚くほどの好成績を収めましたが、最近になって下落しています。先週の後半に持ち直しましたが、過去1カ月間で、株価は20％以上下落しています。しかし、これは主に、ハイテクセクター全体がここ数カ月間低調であることの影響を受けたものです。
今回の下落はビジネスのパフォーマンスがもたらしたものではありません。実際のところ、デジタルオーシャンは極めて順調に業績を伸ばしています。
デジタルオーシャンの社内調査によると、中小企業の13％が、技術トレーニングやクラウド教育がクラウド導入の障壁になっていると回答しており、Amazon Web Services（AWS）のようなクラウド提供サービスはこの問題の解決に役立っていないと報告されています。
AWSのようなソリューションは、専門家向けに作られているため、非常に技術的で複雑ですが、中小企業や独立系の開発者は、クラウドに慣れていないことが多く、これらのソリューションを使うことに不安を感じています。
デジタルオーシャンは、シンプルさ、透明性、そして中小企業を支援する専門家の開発者コミュニティを基盤とした、中小企業に特化したクラウドサービスを提供しています。
また、同社は、「ドロップレット」と呼ばれる、数秒で立ち上げることができる小型で簡単なサーバーや、アプリケーション開発ツールなどの基本的なサービスも提供しています。
料金モデルは透明性が高く明確で、顧客の学習を支援するために、さまざまなクラウドの専門家によるチュートリアルや説明ビデオへのアクセスを提供しています。
AWSや他の競合他社は、中小企業向けに特化したサービスを提供しているにもかかわらず、これらの重要なサービスを提供できていません。そのため、デジタルオーシャンは中小企業向けに特化したクラウドプロバイダーとして確固たる地位を築いています。
デジタルオーシャンは、世界中に約60万の顧客を抱えており、その結果、四半期ごとにトップラインの成長を加速させ、この12ヶ月間の売上高は3億9,640万ドルに達しました。
また、デジタルオーシャンは、顧客を製品のエコシステムに引き込むことで、顧客との関係を深めることにも成功しています。中小企業は予算が少ないため、大企業に比べて解約率が高いことで知られていますが、デジタルオーシャンは顧客の維持に成功しています。
同社は、2021年の第2四半期から第3四半期にかけて、4,000の顧客を失いました。これは多いように聞こえますが、同社の全顧客数の1％にも満たないものです。
解約率がこのように低い一方で、同社は顧客の支出を増やすこともできています。同社のネット・リテンション・レートは116%であり、現在何も消費していない解約済みの顧客を含めると、2020年第3四半期からの顧客は16%多く消費していることになります。これは、デジタルオーシャンが顧客を維持し、中小企業の市場では難しいエコシステムに深く入り込ませることができたことを示しています。
デジタルオーシャンの推計によると、世界には1億の中小企業があり、さらに年間1,400万の中小企業が誕生すると予測されています。
これを基に計算すると、デジタルオーシャンのアドレス可能な市場は、2024年までに約3倍の1,160億ドルになると予想されています。過去12ヶ月の売上が4億ドルに満たないデジタルオーシャンの成長の機会は膨大です。
大規模なアドレス可能な市場を前にして、前年比35％の成長を遂げた企業の多くは、現金を流出させていますが、デジタルオーシャンは今年の時点で、2.4％の純利益率を得ることができました。研究開発への投資と利益への還元のバランスは、経営陣の配分の巧みさを示すものであり、今後10年にわたって同社に貢献していくことは間違いないと思われます。
デジタルオーシャンは、世界でも有数の企業が実現できなかったプラットフォームを構築し、その結果、中小企業の主要なクラウドプロバイダーとなりました。
このタイトルと、ブランドにこだわらない消費者層からの印象的なブランドロイヤリティにより、同社は中小企業の市場で巨大な存在になる可能性を秘めています。
より積極的な投資家にとっては、今がポジションを追加するチャンスかもしれません。同社は売上高の約20倍で取引されていますが、これはハイテク株としては決して高いものではありません。
中小企業に特化した企業であるショッピファイ（SHOP）は、売上高の38倍という驚異的な価格で取引されています。一方、デジタルオーシャンの評価額は、今年初めの売上高の30倍から、現在は約20倍まで下がっています。この下落とポジティブな財務の背景を考えると、今は、この革新的な企業の株式をポートフォリオに加える好機であると考えられます。