テラドック 2022年は大逆転の年になるか

2021年、テラドック・ヘルス(TDOC)の株価は大きく下落しました。今年初め株価は一時300ドルをつけましたが、その後はほぼ一貫して下落。現在の株価は95ドルとピークから70%も下落しています。

2020年に大きく上昇してパンデミック時代の寵児ともてはやされた姿は今や見る影もありません。この1年間は言わば完全な負け越しの年でした。

パンデミックがあったからこそ売上を増やすことができた一過性の銘柄という見方がどうやら一般的だったようで、その余韻はいまだに残っており、そのイメージを払拭できていません。

しかし、テラドックが2021年に成し遂げた変化、ヘルスケアが長期的にどのようになるべきかというビジョンに基づく進化については、まだあまり注目されていないようです。

従来の米国の医療システムは非常に細分化されています。患者は生涯で平均19人の医師の診察を受けますが、医師が変わるたびに診療所も変わり、ケアプロバイダーとの関係も変わり、医療記録も異なります。

これらのことから、米国民が受ける医療は一貫性のないものとなり、患者は満足できず、健康問題は解決されないまま、さらに悪化する可能性さえもあるのが現状です。

こうしたシステムを変革するために、テラドックは何年もかけて資産を取得・開発し、同社が「whole-person care(全人的ケア)」と呼ぶケアシステムの看板となるプライマリー360を発表しました。

全人的ケアとは、プライマリヘルスケア、メンタルヘルス、慢性疾患の治療を、患者が携帯電話からアクセスできるバーチャルなパッケージにまとめたものです。

テラドックは、2020年にリヴォンゴ・ヘルスを現金と株式で185億ドルで買収したことにより、データと分析を利用して、よりパーソナライズされたヘルスケア体験を実現する技術を持っています。

最近、オミクロン株の世界的な流行が懸念されています。2020年のような大規模なロックダウンは再び起こらないかもしれませんが、このような変異株が今後も登場することが予想されるため、人々を感染から守るためのバーチャルサービスの導入は続くかもしれません。

このことは、テレヘルス事業を推進し、プライマリー360のようなバーチャル・ヘルスケアシステムの導入を加速させる可能性があります。

テラドックは2022年にこのような状況から恩恵を受け、復権するかもしれません。そんな中、患者が従来のシステムよりもオールインワンのバーチャルケアの方が良いと判断した場合、プライマリー360への恒久的な移行が促進される可能性があります。

テラドックはプライマリー360を2ヶ月前に全面的に立ち上げ、ヘルスプラン、保険会社、雇用者、そして消費者に直接販売していく方針です。

11月には、経営陣が投資家向けイベントを開催し、2024年までの売上ガイダンスとして、年率25~30%の成長率を発表しました。すべてのヘルスケアチャネルを通じて販売することで、ユーザーベースを拡大し、そのユーザーに複数の製品を販売することで、売上の成長をさらに高めることができると考えています。

同社は、米国の人口の80%がテラドックのサービスの1つ以上の恩恵を受けられると推定しています。これは、米国だけで2,610億ドルの潜在市場に相当しますが、同社が2021年に20億ドルの売上を見込んでいることを考えると、浸透率は1%にも満たないことになります。

今年に入って継続的に株価が下落したことから、テラドックの売上高営業利益率(P/S)は24から8以下と、パンデミック前の評価よりも低くなっています。

もし、同社が経営陣が発表した通りの業績を上げれば、投資家は、事業の有機的な成長だけで、今後数年間にわたって年間25%から30%のリターンを期待することができます。

また、プライマリー360の成功は、テラドックに対するセンチメントを向上させ、評価額を上昇させて、投資家のリターンをさらに高める可能性があります。

2021年の市場における完全な敗者という立場から、2022年には最大の勝者の一つになるという、大逆転劇を演じる可能性をテラドックは持っています。

*過去記事はこちら テラドック TDOC

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