ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイが支援するブラジルのデジタル金融機関、ヌーバンク(NU)の株式が上場初日に15%近く急上昇しました。
ヌーバンクの株式は、12月9日に11.25ドルでスタートし、12.24ドルでピークに達した後、公募価格から1.33ドル上昇した10.33ドルで終了しました。
ヌーバンクは、IPOによって26億ドルを集めました。このフィンテック企業は、8日の終わりに、2億8,915万株を1株あたり9ドルで販売しましたが、これは8ドルから9ドルの価格帯の頂点でした。モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、シティグループ・グローバル・マーケッツ、ニュー・インベスト・コレトラ・デ・バローレスがこの取引の引受人です。
ヌーバンクの創業者兼CEOであるダビド・ベレス氏は、今回のIPOを利用して新規顧客を獲得するとともに、ブランド力を強化すると述べています。
ヌーバンクの株式は、9日にニューヨーク証券取引所とサンパウロ証券取引所の両方で取引が開始されました。ベレス氏によると、このフィンテック企業は、750万枚のブラジル預託証券(BDRS)をブラジル国内の顧客に提供しています。彼らは、12ヶ月間のロックアップが終了すると株式を受け取ることになると、広報担当者は述べています。
ベレス氏によると、ラテンアメリカの銀行セクターは長い間、競争不足に悩まされてきたため、フィンテック企業にとってチャンスとなります。ヌーバンクのIPO申請書によると、ブラジル、メキシコ、コロンビアの大手5行は、ローン、預金、銀行業務全体の売上の70%から85%を占めています。
「ラテンアメリカには、銀行を利用できない人々が2億5,000万人以上もいます。文字通り現金をマットレスの下に置いているのです」とベレス氏は言います。
スタンフォード大学のビジネススクールを卒業したベレス氏は、ブラジルの銀行システムの複雑さを自ら体験しています。コロンビアで生まれ、2012年にブラジルに移住した同氏は、銀行口座を開設しようとしたところ、「多くの不信感」を抱かれたと言います。携帯電話をロッカーに預けた後、同氏を助けることに興味のない人と話をしなければならなかったそうです。
「空港のセキュリティ・ラインに並ぶようなものだった」というこの経験を他のブラジル人に話してみると、「ひどい」という意見には同意してくれたものの、「このような大銀行に対抗することはできない」と言われたそうです。
サンパウロに運営本部を置くヌーバンクは、大手銀行に挑戦しており、今ではラテンアメリカで最も価値のあるフィンテックの1つとなっています。
2013年に設立されたヌーバンクは、当初、年会費無料のクレジットカードの発行を行っていました。現在では、デビットカード、銀行口座、ローン、生命保険なども提供しています。
実店舗を持たないヌーバンクは、自らを最大級のデジタルバンキングプラットフォームと称し、9月30日現在、ブラジル、メキシコ、コロンビアに4,810万人の顧客を抱えています。目論見書によると、顧客の70%以上が40歳以下で、約28%が15歳以上のブラジル人となっています。
ヌーバンクはブラジルにおいて、クレジットカードで10%、個人向け融資で1%の市場シェアを持っているとのこと。これは、クレジットカードが1枚しかなかった5~6年前に比べて増加しています。べレス氏は、「我々は、これらのサービスを拡大するために取り組んでいる」と述べています。
ヌーバンクのIPO資金の一部は、企業買収に使われる予定です。また、エンジニアやデータサイエンティストなどの技術的な人材を加えることも計画しているとベレス氏は述べています。
今年初め、バフェット氏のバークシャー・ハサウェイは、ヌーバンクに5億ドルを投資し、当時、このフィンテックを300億ドルと評価していました。「それは、我々のビジネスと戦略を強く検証するものだった」とべレス氏は語っています。
バークシャーの出資により、ハイテクに強い人材獲得や海外展開を強化。すでにアマゾン・ドット・コムやグーグルなどから人材をスカウトしているそうです。