近年のアップル(AAPL)投資で重要な要素となっているのが、同社の積極的な自社株買いプログラムです。
アップルは、主に自社株買いによる株主への資本還元を通じて、長期的にキャッシュニュートラルな状態を目指すと言い続けています。
アップルは、過去4会計年度とも、フリーキャッシュフローの100%以上を投資家に還元しており、そのほとんどが自社株買いによるものです。
バーンスタインのアナリストであるToni Sacconaghi氏は、11月17日に発表したリサーチノートの中で、アップルはバランスシートに純負債を抱えることなく、2026年まで毎年3%から4%の自社株買いを継続しながら、配当を年10%ずつ増やしていくことができると主張しています。これにより、株式数は現在よりも約15%減少し、目標としているネットキャッシュゼロを達成することができます。
Sacconaghi氏は、「アップルが継続的に行っている自社株買いプログラムは、ハードウェアの売上が減少せず、サービス部門が過去の10%台半ばで成長すると仮定すれば、今後5年間は1桁台後半以上のEPS成長への比較的明確な道筋となる」と書いています。
同氏はまた、もしアップルが総負債を金利・税金・減価償却前利益(EBITDA)の2倍に引き上げることを厭わなければ、現在の自社株買いのペースを2035年まで続けることができるとも述べています。このシナリオでは、アップルは一株当たりの利益成長を継続しながら、発行済み株式の最大35%を買い戻すことができると付け加えています。
2013年から2021年にかけて、アップルは年率10%の税引前利益の成長を記録していますが、一株当たりの利益は19%成長しており、これは主に自社株買いのおかげであると同氏は指摘しています。
Sacconaghi氏は、アップル株に対するマーケット・パフォームの評価を継続しています。「アップルの継続的な自社株買いは、堅調なEPSの成長を促進する可能性があるものの、アップルのマルチプルはトップラインの成長によって最も形成されると考えており、長期的には一桁台前半から半ばになるだろうと考えている」と同氏は書いており、アルファベット(GOOGL)やフェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズ(FB)の成長率を下回ると見ています。
「アップルについては、バリュエーション、サプライチェーンの不確実性が続いていること(iPhoneサイクルの強さを測るのが難しい)、2022年度の成長が鈍化すると予想されることから複数の事業を拡大する明らかな触媒がないことを考慮して、リスク・リターンは比較的中立と見ている」と同氏は書いています。