保険技術会社のレモネード(LMND)の株価は、同社が2021年第3四半期の財務結果を報告した翌日の11月9日、大きく下落しました。決算報告の指標の多くは予想よりも高い結果となりましたが、見過ごせない厄介な兆候もありました。
さらに、市場はレモネードが提案している競合企業メトロマイル(MILE)の買収に乗り気ではないようです。米国東部時間午前10時40分現在、レモネードの株価は12%下落し、メトロパイルの株価は3%しか上昇していません。
第3四半期のレモネードの既契約保険料(保険料の年換算総額)は、前年同期比84%増の3億4700万ドルでした。これは、経営陣が発表したガイダンスの上限である3億3,900万ドルを上回り、前四半期末の2億9,700万ドルから大幅に増加しました。その結果、レモネードの売上高は前年同期比101%の3,570万ドルとなり、これもガイダンスを上回りました。
レモネードは賃貸住宅の保険からスタートしましたが、経営陣は新しいサービスの成功について語っています。現在、ペット保険、生命保険、家財保険がレモネードのビジネスの47%を占めており、さらに自動車保険への多角化を進めています。
レモネー・カーは先週発売されたばかりですが、同社は競合他社であるメトロマイルを5億ドルで全株式取得することを発表しました。メトロマイルの現金を差し引くと、実質的には2億ドル程度の取引となります。
9日にレモネードの株価を下げている可能性のある将来的な問題がいくつかあります。まず、第3四半期の業績が予想を上回ったにもかかわらず、経営陣は通年の保有保険料ガイダンスを全く引き上げませんでした。
また、調整後の金利・税金・減価償却前利益(EBITDA)のガイダンスも引き下げ、現在は1億8,500万ドルから1億8,300万ドルのEBITDA損失を見込んでいます。
第2に、第3四半期の損害率は悪化しており、これは保険会社にとっては厄介な兆候です。同社の総損害率は77%で、昨年は72%、2年前は78%でした。経営陣は、新しい商品の方が損害率が高いと強調しています。
レモネードの保険料は人工知能(AI)を使って設定されています。したがって、どちらかといえば、AIがそのメリットを発揮するためには、新しい商品よりも古い商品の方が改善されているはずです。このため、株主は今後もレモネードの損害率を注視する必要があります。
最後に、市場はレモネードのメトロマイル買収を好ましく思っていない可能性があります。経営陣が興奮しているのは、顧客がすぐに増え、さらに重要なことに、AIアルゴリズムに供給する顧客データが増えるからです。
しかし、メトロマイルの第2四半期の純損失4,800万ドルは、事業規模がはるかに小さいにもかかわらず、レモネードの純損失とほぼ同じ大きさです。株主がこれを株主に優しい動きと捉えていない可能性もあります。
ただ、メトロマイルは米国の49の州で事業を展開しているのに対し、レモネード・カーは1つの州にしかないという点は重要です。これにより、レモネードの自動車保険の展開が加速されることになり、明るい兆しが見えてきたとも言えます。
*過去記事はこちら「レモネード LMND」