45%ダウンからの反騰が期待できるクラウド株

主にクラウドベースの通信プラットフォームを提供するバンドウィズ(BAND)は昨年、新型コロナウイルスの大流行で通信プラットフォーム・アズ・ア・サービス(CPaaS)ソリューションの需要が急増し、遠隔地にいる従業員との接続を可能にするバンドウィズの製品を購入する企業が相次ぎ、同社のビジネスは急激に加速しました。

しかし、2021年はバンドウィズの投資家にとって残念な年となってしまいました。今年に入ってからは、株価が45%近く下落し、52週の最安値に近い水準で取引されています。しかし、バンドウィズが今年、驚異的な売上成長を維持していることから、この急落はその実態を表しているものではないと思われます。

同社は11月8日に第3四半期の決算報告を予定していますが、そこで株価と業績の乖離が明らかになることが予想されます。

バンドウィズは先週、第3四半期の速報値を発表しましたが、8月に発表した第3四半期のガイダンスを上回る結果となりました。

同社によると、第3四半期の売上高は1億3,100万ドルを見込んでおり、これは前年同期比で54%の増加となり、ガイダンスの範囲である1億2,360万ドルから1億2,460万ドルを大幅に上回るものです。

第3四半期のCPaaSの売上高は1億740万ドルで、前年同期比46%増となり、ガイダンスレンジである1億610万ドルから1億710万ドルの上限をわずかに上回る見込みです。

ただし、最近発生した分散型サービス拒否(DDoS)によるサイバー攻撃で、顧客にクレジットを提供したことや、取引量の減少などにより、第3四半期の収益には0.7百万ドルの影響があるとしています。

さらにバンドウィズは、今回のDDoS攻撃により、前述の第3四半期の影響を含め、通期のCPaaS売上高に900万ドルから1,200万ドルの範囲で影響が出る可能性があると指摘しています。そのため、今回の一過性の事件による収益減を考慮して、通期の見通しを修正するとのことです。

バンドウィズは、第2四半期の決算報告において、通期の売上高を4億8,480万ドルから4億8,680万ドルと予想しており、2020年の売上高である3億4,310万ドルと比較して41.5%の成長となります。なお、今年2月に発表された同社の当初の通期ガイダンスでは、4億6,040万ドルから4億6,440万ドルの売上を見込んでいました。

バンドウィズは、自社製品の採用が進んだこと、顧客基盤が拡大したこと、2020年11月に完了したVoxboneの買収などにより、年を追うごとに予想を上方修正してきました。

同社のアクティブな顧客基盤は、第2四半期に前年同期比61%増の3,051人となりました。また、バンドウィズは、第2四半期のドルベースの純保持率が114%であったことからもわかるように、アクティブカスタマーによる支出の増加を目の当たりにしていました。

ドルベースの純保持率とは、「ある四半期の顧客からのCPaaS売上を前年同期と比較したもの」とバンドウィズは述べています。この数値が100%を超えれば超えるほど、バンドウィズにとっては、既存の顧客が同社製品の採用を増やしたり、使用範囲を広げたりしていることを意味します。

このように、バンドウィズの通期売上見通しは、サイバー攻撃の影響を受けないかもしれません。2021年を好調に終えることができそうです。

Mordor Intelligenceによると、バンドウィズが事業展開しているCPaaS市場は、2026年まで34%の年間成長率が見込まれています。バンドウィズは、顧客基盤の拡大とCPaaSサービスへの支出の増加により、市場全体を上回るペースで成長しています。

アナリストは、バンドウィズの売上は2022年に19%近く増加すると予想していますが、同社がそれを上回る業績を上げても不思議ではありません。

そうなる理由のひとつは、オフィスとリモートで働くハイブリッドなワークモデルへの移行にあると考えられます。ガートナーの予測では、2022年までに米国では労働力の53%がリモートで働くようになり、ヨーロッパでも同様のシェアになると予想されています。

そのため、企業のアプリに音声やテキストの機能を組み込むことができるバンドウィズのコミュニケーションAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の需要はますます高まっていくはずです。

バンドウィズの株価が叩かれている今こそ、同社に投資する絶好の機会かもしれません。バンドウィズは売上高の4.88倍で取引されており、昨年の売上高倍率12.7倍に比べて大幅なディスカウントとなっているため、クラウド銘柄を探している投資家にとっては、この急成長企業を購入する魅力的な機会となっています。

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