インテル(INTC)のCEOであるパット・ゲルシンガー氏は、アップルのMacbookビジネスを取り戻せるような優れた半導体を作りたいと考えていますが、10月18日のアップルのイベントでは、それがいかに難しいかが示された形です。
18日、アップルは、新しいM1 ProとハイエンドのM1 Maxプロセッサーを搭載した新しいMacbook Proラップトップを発表しました。M1 Proは10コアのチップ設計で、旧型のM1チップよりも最大70パーセント高い速度を実現しているとのことです。また、M1 Maxは32コアで、M1 Proの2倍の帯域幅を実現しています。
ウェッジブッシュのアナリストであるダン・アイブス氏は、M1 ProとM1 Maxを18日のイベントの主役と呼び、「これらは、アップルが開発する最も先進的なチップであり、約1年前に発売された初代M1チップから大きく進化している」と評しています。
今年初めにインテルの社長に就任したゲルシンガー氏は、10月17日に放送されたインタビューで、2020年11月に発表され、投資家や技術愛好家から称賛されたアップルのM1チップについて言及。M1チップを賞賛しつつも、アップルが作ったものより優れたチップを作り、失ったビジネスを取り戻したい旨を語っていました。
レイモンド・ジェームズのアナリストであるクリス・カソ氏は、Macbook Proのチップによって、アップルが期待していたインテル・プラットフォームからの移行が完了したと述べています。
「アップルは、最先端のコンピュート性能で自立し、インテルから完全に独立することができ、その独立性がアップルに競争上の優位性をもたらす」とカソ氏は評価しています。
インテルにとって、アップルの新チップは、これまで以上に高いハードルを設定しています。エバーコアISIのアナリストであるアミット・ダリヤナニ氏は、M1はすでに市場のリーダーとみなされていたと指摘します。「アップルは最新の製品で競合他社を圧倒している」と同氏は評しました。
インテルのゲルシンガー氏は3月に、200億ドルを投じてアリゾナ州に2つの半導体製造拠点を建設すると発表するなど、巻き返しに懸命ですが、アップルのプロセッサを凌駕するという野望実現をするために越えなければならないハードルの高さは大きく上がったようです。