ペイパル 日本の新興企業ペイディを3000億円で買収

ペイパル(PYPL)は9月7日、日本で後払いサービスを手がけるペイディ(東京・港)を3,000億円で買収し、「今買って後で払う」商品への取り組みを強化すると発表しました。

ペイパルは9月7日の声明で、この買収は、2022年の調整後1株当たり利益に対して「最小の希薄化」となるとし、買収は第4四半期中に完了するそうで、主に現金で支払われると述べています。

日本は世界第3位のオンラインショッピング市場を有していますが、先進国の中ではまだ紙幣が主流の数少ない市場の一つでもあります。ペイパルは、日本での買い物の4分の3近くはまだ現金で支払われていると説明しています。

ペイディは、日本の消費者がオンラインで商品を購入し、毎月地元のコンビニエンスストアで支払うことを可能にする、世界でも珍しい「Buy-now-Pay-Later」サービスを提供しています。

ペイディとは

2008年設立の日本のスタートアップ企業で、14年に後払い決済サービスを開始。消費者がネット通販の買い物でメールアドレスと電話番号を入力すると信用情報機関の個人データなどから与信を瞬時に判断し、クレジットカードを使わずに最大30万円の枠内で買い物ができる。消費者は原則翌月10日までにコンビニエンスストアで支払う。日本を中心にアカウント数は600万を超える。

出所:日本経済新聞

ペイディの創業者兼エグゼクティブ・チェアマンのラッセル・カマー氏は、「ペイディが成長と革新を続けていく上で、20年以上にわたってオンラインショッピングの摩擦を取り除いてきたペイパルほど最適なところはない」と述べています。

ペイパルによると、カマー氏とペイディの社長兼CEOである杉江陸氏は引き続き事業を指揮します。また、ペイディはそのブランドを維持し、既存の事業を続けるとのことです。

BNPL(Buy-now-Pay-Later)サービスとは、ユーザーが購入した商品を分割して支払うことで金利を発生させず、消費者が商品を使用するたびに加盟店から少額を徴収することで収益の大半を得ることができるものです。パンデミックによる電子商取引ブームの中で、その利用者は世界中で急増しています。

米金融サービス会社のフィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)によると20年に世界のEC決済に占めるBNPLサービスの割合は2.1%。24年には4.2%に上昇すると予想されています。

今回のペイディの買収は、ジャック・ドーシー氏のスクエアが先月、オーストラリアのBNPL企業アフターペイを290億ドルで買収することに合意したことに続くものです。

スウェーデンのクラーナ・バンク ABは、6月にソフトバンクグループの主導により、評価額456億ドルで資金調達を行いました。

ペイパルは昨年、BNPLサービスの提供を開始し、顧客は35億ドルの購入に利用しています。

ペイディは、ソロス・キャピタル・マネージメント、ビザ.、伊藤忠商事などの企業から出資を受けています。3月に行われた直近の資金調達ラウンドでは1億2,000万ドルを調達し、調査会社のCB Insightsによると、評価額は12億ドルに達したとのことです。

カナダ人のカマー氏は、ゴールドマン・サックス・グループ・インクの東京支店でクレジット・トレーダーとして勤務した後、同社を設立しました。ペイディは、2014年にBNPLサービスの提供を開始しました。アマゾン・ドット・コムの日本サイトでも利用可能で、6月にはアップルと提携し、日本でアップルから購入する顧客向けにサービスを開始しました。

ペイパルの日本担当責任者であるピーター・ケネヴァン氏は、「ペイディは、日本市場に合わせたBuy-Now-Pay-Laterソリューションの先駆者でであり、ペイディのブランド、能力、優秀なチームと、ペイパルの専門知識、リソース、グローバルな規模を組み合わせることで、この戦略的に重要な市場での勢いを加速させるための強力な基盤を構築することができる」と述べています。

 

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