先週は、世界5大ハイテク企業であるアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、フェイスブック(FB)が四半期決算を発表しました。
5社合計の売上高は36%増の3,320億ドルという巨額に達しており、その影響力はますます強まるばかりです。
そんなビッグ5の決算から明らかになったのは以下4つの潮流。巨大な力をもつ彼らだけにこの流れが今後の世界経済に影響を与えるものと考えられます。
パンデミック・ブームの終焉
アマゾンのブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)は、同社の決算発表の場で、5月中旬以降、Eコマースの売上高の伸びが30%から40%の範囲から10%台半ばに低下したと述べました。
ワクチンを接種した人々は、数ヶ月前まではオンラインで購入していたものを、家を出て購入するようになりました。
また、可処分所得をオンラインショッピングから旅行やレストラン、さらにはイベントなどにシフトしています。
オルサフスキー氏は、アマゾンにとって厳しい比較環境が続き、今後数四半期は10%台の成長率になると見ています。
アップルは、すべてのセグメントで予想を上回りましたが、成長は鈍化しています。
Macの販売台数は、3ヶ月前の70%増から6月期は16%増に、iPadの販売台数は3月期の79%増から12%増になりました。
猛烈だったホームオフィスやバーチャルスクールへの需要が終息に向かっていることを示唆しています。
マウスやウェブカメラなどのPC周辺機器を製造するロジテック(LOGI)は、6月期に66%の増収を達成しましたが、2022年3月期の収益は横ばいと見ています。
部品不足の継続
アップルの四半期決算で市場が最も注目したのは、6月末以降、チップの供給不足が深刻化しており、この問題がiPadや、さらに悪いことにはiPhoneの入手にも影響すると警告したことでした。
アップルは9月にiPhone 13を発売する予定ですが、需要を満たせない可能性があります。
クアルコム(QCOM)は先週、チップ不足が2022年まで続く可能性があると警告しました。これを解決するにはしばらく時間がかかるかもしれません。
一方、アップルのCEOであるティム・クック氏は、同社の決算説明会で、出荷コストも高くなっていると述べています。運賃は過去最高水準にあり、ホリデー商戦が間近に迫っていることもあって、貨物輸送能力に対する需要が高まっています。
オンライン広告の隆盛
アルファベットの広告事業は、YouTubeの広告が84%増加したことを含め、最新の四半期で68%増加。
フェイスブックの広告事業は、広告価格が前年同期比で47%増加したことにより、56%の成長となりました。
アマゾンの広告を中心とした「その他」の事業部門は、87%増の79億ドルとなり、ウォール街の予想を10億ドル近く上回りました。
アップルは広告の内訳を明らかにしていませんが、広告の好調さが同社のサービス事業の33%の成長に貢献しました。
マイクロソフトは、BINによる検索広告が53%、リンクトインの広告が97%増加しました。
これらはすべて経済の再開に起因しています。
アルファベットはアナリストに対し、広告成長の最大の原動力は小売業であり、旅行、金融サービス、メディア・エンターテイメントも大きく貢献していると述べています。
人々は買い物をしたり、外食をしたり、休暇を取ったりしており、それが広告を後押ししているのです。
クラウド導入の加速
エンタープライズ・コンピューティングの世界では、誰もが口にするデジタル・トランスフォーメーションのトレンドが現実のものとなっています。
アマゾン・ウェブ・サービスのクラウド部門の売上高は3月期の32%から37%に加速して148億ドルに達し、素晴らしい四半期となりました。これは、予想を5億ドル上回るものでした。
マイクロソフト・アジュールの売上は51%増で、ウォール街のコンセンサスを9ポイント上回りました。
アルファベットは、グーグル・クラウド事業において54%の成長を達成し、3月期の46%の成長から加速しました。グーグル・クラウドは、年間売上高200億ドルに向けて急速に成長しています。
他のクラウド関連会社のように売上倍率が20倍になれば、この事業は4,000億ドルの価値があり、現在のアルファベットの市場価値の20%以上を占めることになります。