ウォルト・ディズニー(DIS)は先週、マーベル・スタジオの「ブラック・ウィドウ」のオープニング興行収入を発表し、投資家を驚かせました。
パンデミックの影響で公開が遅れていた本作は、米国内で8,000万ドル、海外で7,800万ドルの興行収入を記録しました。
投資家は、劇場での動員が目立って減少した第2週目の成績に失望したようですが、ディズニーは、「ブラック・ウィドウ」のオープニング週末の数字は、マーベル・シネマティック・ユニバースのオリジナル・ストーリーの米国内オープニング週末としては、「ブラックパンサー」と「キャプテン・マーベル」に次ぐ最高の数字であると述べています。
現在までに、本作は全世界で合計2億5,100万ドルの興行収入を記録していますが、これには、「ブラック・ウィドウ」がプレミア・アクセス・タイトルとして、同サービスの購読料に加えて30ドルの課金で公開されたDisney+でのディズニーの売上は含まれていません。
ディズニーによると、本作は公開週末までにDisney+で6,000万ドルを稼いだとのことです。これは、映画の総売上高の約3分の1にあたります。
ブラック・ウィドウのオープニング成績は、先日Disney+で独占オリジナル作品として公開された「ロキ」、「ワンダビジョン」、「ファルコンとウィンター・ソルジャー」の成功を受けてのものです。ディズニーは、マーベルファンがこれまでにDisney+で約30億時間のコンテンツをストリーミングしたと述べています。
ブラック・ウィドウ、ロキ、ファルコンに共通しているのは、2009年にディズニーがマーベル・エンタテインメントを買収する前は、これらのキャラクターは無名だったということです。ディズニーはこの10年間、マーベルの膨大なキャラクターライブラリーを活用し、10億ドル規模の大ヒット作品をいくつも生み出してきました。
マーベルには8,000ものキャラクターがあり、ディズニーはその裏庭に何十年もかけて採掘できる金鉱を持っているのです。
ディズニーは、マーベルを買収して以来、驚異的な興行成績を収めています。最速で5億ドルの興行収入を達成した上位15作品のうち、13作品をディズニーが独占しています。
トップ5のうち3作品はマーベル作品です。これまでのディズニー作品で最も成功したのは「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)で、全世界で27億ドルという驚異的な興行収入を記録しています。
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018年)は20億ドル、「ブラックパンサー」(2018年)は全世界で13億ドルを稼ぎ出しました。
アベンジャーズのキャラクターのうち、ハルクやキャプテン・アメリカのように、マーベルのファンでなくても知っているキャラクターもいましたが、アントマンやブラックパンサーのように、知名度のないキャラクターも多くいました。
ディズニーがマーベル・エンタテインメントに支払った金額は42億ドルで、今にして思えばとんでもなく安い金額です。
ディズニーはまた、銀河系の25,000年以上の歴史を持つルーカスフィルムのスター・ウォーズの神話を持つ広大な金庫を持っています。その中には、17,000人のスター・ウォーズ・キャラクターの宝庫が含まれています。ディズニーはルーカスフィルムを41億ドルで買収しました。
ディズニーがこれらの買収を行う前、同社のスタジオ部門は、61億ドルの売上に対して1億7500万ドルの営業利益を出していました。
マーベルやスター・ウォーズの大ヒットが10年続いたことで、ディズニーはハリウッドで最も収益性の高いスタジオの一つとして浮上しています。2019年度のディズニーのスタジオ事業は、111億ドルの売上で26億ドルの営業利益を得ました。
これだけ多くのキャラクターを発掘することができるのですから、このセグメントは時間の経過とともにさらに価値が高まると考えられます。
マーベルやスター・ウォーズの新作が成功するたびに、ディズニーのテーマパークを訪れる人の関心が高まり、これらの超大作の価値がさらに高まるのです。
ディズニーは、CEOのボブ・チャペック氏が「テーマパーク」と呼ぶ本来の消費者向け直接販売事業の強みと、テーマパークが完全に回復した後のストリーミング配信を組み合わせようとしています。
ディズニーはパークを訪れた人々の膨大な情報を持っており、経営陣はそれを使ってDisney+の会員数を増やし、さらにはコンテンツ開発にも役立てることができるでしょう。
6月に開催されたクレディ・スイス・コミュニケーションズのカンファレンスで、チャペック氏は次のように述べています。「制作量を増やし、マーベルの神話をより深く掘り下げていくことで、それ自体が枯渇することはないことが証明されつつあると思います。」
投資家にとって、これほど豊富なキャラクターライブラリーを持つ企業の価値を推し量ることは非常に難しいことです。
このため、ディズニーの株価は常に本源的な価値に追いついていない可能性があります。
だからこそ、ディズニーは「永遠に保有し続けられる最高のエンターテイメント銘柄の一つ」と言われているのです。