オラクル(ORCL)の株価が上昇しています。今年に入ってから37%上昇。7月9日の取引でも株価は2.5%上昇し、87.76ドルと終値での最高値を更新しました。時価総額は初めて2,500億ドルに近づきました。
Embed from Getty Images上昇の理由は、米国防総省との契約です。
国防総省は7月6日、オラクルとアマゾン(AMZN)が法廷で執拗に争っていた、マイクロソフト(MSFT)との10年間で100億ドルのクラウドコンピューティング契約「JEDI」を中止しました。
オラクルはデータベースやアプリケーションビジネスの大部分をクラウドに移行しつつあり、トップラインの成長が再び加速しています。数週間前にオラクルが発表した5月の四半期決算では、過去10年間で最大となる8%のトップライン成長を達成しました。
オラクルのクラウドインフラストラクチャは、5月の四半期に100%以上の成長を遂げました。さらに、ビデオ会議システムのズーム・ビデオ(ZM)や8×8(EGHT)など、いくつかの重要な案件を獲得しています。
とは言っても、Oracle Cloudは、成長中のパブリッククラウドサービス市場の巨人であるAmazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudには遠く及びません。しかしそれも、国防総省との契約を手にすれば、変わるかもしれません。
米国防総省の新プロジェクトは、「Joint Warfighter Cloud Capability」と呼ばれ、同省が「マルチクラウド/マルチベンダー」と表現する契約になるそうです。政府は、「限られた数のソース」から提案を求めるとしていますが、マイクロソフトとアマゾンだけが同省の要件を満たしているように見えると述べています。
ただ、政府は「直ちに産業界に働きかけ」、米国に拠点を置く他のクラウド事業者が要件を満たせるかどうかの調査を続けるともしており、「もし満たせるところがあれば、米国政府はそれらの企業と交渉することになる」と述べています。
自社のクラウドが政府の技術要件を満たしていると何年も前から主張してきたオラクルにとっては、ここに希望の光が差し込んでいます。CEOのサフラ・カッツ氏は先日イスラエルで記者団に対し、7月6日の発表後に米国防総省のITスタッフと話をしたことを認め「この問題を新たに検討する用意がある」と述べています。
今回の契約でオラクルが部分的に勝利しても、売上という点ではそれほど大きな変化はないかもしれませんが、AWSやAzureに対抗するための能力を大きくアピールすることになるのは間違いありません。ただ、オラクルが本当に国防総省の要求をすべて満たしているかどうかも不明であるため、市場はその動向を注視しています。