ペイパルを上昇させ続ける3つの起爆剤

デジタル決済のリーダーであるペイパル(PYPL)は昨年、3つの起爆剤によって売上の伸びが加速しました。その勢いは2021年も持続しており、株価を更に押し上げる可能性があります。

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次世代のデジタルウォレットの発表

ペイパルは、2020年までに26億ドル(約2,000億円)の投資を行い、3億9,200万人のアクティブユーザーのために新機能を開発してきました。

パンデミックの時期には、これらの投資により、小売店での非接触型チェックアウトのための新しいQRコードツールがリリースされ、今年に入ってからは、暗号資産で買い物の支払いができる機能を導入しました。

CEOのダン・シュルマン氏は、5月に行われた第1四半期の決算説明会で、次世代のデジタルウォレットを第3四半期に発表する予定であることを明らかにしました。

「次世代型デジタルウォレットは、カスタマイズされた独自のショッピング機能、金融サービス、新しい決済体験を提供する “オールインワン・パーソナライズド・アプリ”」と説明しています。

また、「当社のアドレス可能な市場は、加速するトレンドと、完全なコマースおよび決済プラットフォームになるための積極的な取り組みにより、引き続き大幅に拡大している」とも述べています。

ベンモに暗号資産登場

ベンモは、今年9億ドルの売上を上げるペースで進んでいます。これはペイパルの事業の4%にも満たない数字ですが、ベンモで暗号資産を使って支払いができるようになったことは、これから2022年までにおけるピアツーピア・ペイメントアプリの成長にとって大きな起爆剤となるはずです。

ペイパルは、3月末にペイパルアプリで「Checkout with Crypto」を開始し、4月にはベンモで暗号資産を購入・売却・保有する機能をユーザーに提供しました。

第1四半期の決算説明会で、シュルマン氏は、ミレニアル世代の74%が今後数年間に何らかの形で暗号資産を使用すると予想しているという調査結果に言及しました。暗号資産の購入は、スクエアのCashアプリにとって大きな成長のきっかけとなっており、今度はペイパルでも同様の結果になる可能性があります。

シュルマン氏は、「暗号ユーザーの約半数が毎日アプリを開いている」と述べ、この影響でベンモが「スーパーアプリ」、つまりユーザーが必要とする唯一の金融アプリになる可能性があることを示唆しました。

ベンモには30万件以上のビジネスプロファイルがあり、ペイパルは、前期に510億ドルの支払いを記録したアプリ(前年同期比63%増)の普及をさらに加速させる大きなチャンスがあると考えています。

収益の伸びが加速

最近のペイパルの業績で最も印象的なのは、営業利益率の改善です。第1四半期において、同社の営業費用の増加率は売上高の増加率よりもはるかに低く、営業利益の増加に結びつきました。これは、調整後の1株当たり利益が前年同期比で84%増加した主な要因となっています。

これは一時的な傾向ではありません。ペイパルの取引費用(顧客が支払いを行う際に発生する費用の合計)は、過去3年間で支払い総額に対する割合が低下しています。また、カスタマーサポート費用の伸びが鈍化したことや、貸倒損失の削減が大幅に進んだことなどによってもコストが削減され利益が確保されています。


このように、ペイパルが多くの新機能を導入し、さらに新機能を追加しながら、利益率と収益を健全に向上させていることは驚くべきことです。

シュルマンCEOは、こうした傾向は持続可能だと考えています。「トランザクション費用は、パンデミック前よりも低い水準で推移すると予想されるが、これは、このプラットフォームで得られる素晴らしいレバレッジのおかげだ」と述べています。

ペイパルは最近、8月から米国の一部の加盟店の処理手数料を引き上げる計画を発表しましたが、これにより営業利益率を維持し、1株当たりの利益を拡大することができます。


アナリストは、ペイパルが今後2年間で営業利益率を着実に伸ばしていくと予想しています。現在の予想では、EPS成長率は2021年に21.9%、2022年に24.3%、2023年に24.6%となっています。

多くのハイテク企業は、成長戦略に投資するために収益性を犠牲にしますが、ペイパルは違います。だからこそ、このフィンテック株は新高値に向かっている現在でも絶好の買い場であると言えます。

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