株式分割は、投資において不思議な役割を果たします。株式分割は、単に発行済み株式数を変更するだけで、企業の価値には何の影響も与えません。しかし、多くの投資家は株式分割を非常に有望なものとして捉えています。株式分割を7月に行うエヌビディア(NVIDIA )の最近の株価の動きを見れば、企業がこのような動きをする際にどれだけ注目されるかがわかるかと思います。
では、エヌビディアに続いて株式分割を行いそうなのはどの銘柄でしょうか。過去に株式分割を行ったことのある銘柄の中には、すぐにでも動き出しそうなものがいくつかあります。
マイクロソフト(MSFT)
Embed from Getty Imagesマイクロソフト(MSFT)は、時価総額が2兆ドルを突破し、大きな節目を迎えました。
マイクロソフトはかつて定期的に株式分割を行っていましたが、2000年代初頭のハイテク不況の後、株価は長い間低迷していました。落ち目になってから史上最高値に戻るまでには約15年かかり、株価が100ドルの大台を超えたのは2019年初頭のことでした。現在、株価は約270ドルで推移しています。
歴史的に見て、マイクロソフトは、株価が1株あたり150ドルから200ドルの間に移動したときに株式分割を行う傾向があります。しかし、過去20年の間に多くの企業が頻繁な分割を行わないようになっており、マイクロソフトが今回は待つことを選択したとしても不思議ではありません。
それでも行うとすれば、どのような株式分割が考えられるでしょう。マイクロソフトはダウの構成銘柄であり、その株価は価格加重型指数で大きな影響力を持っています。マイクロソフトの影響力は、アップル(AAPL)の約2倍であることから、ダウの中で2つのハイテク大手がより均等になるには1対2の分割が必要になります。実行するとすればこのような分割になる可能性が高いと思われます。
インテュイティブ・サージカル(ISRG)
Embed from Getty Images2017年、ロボット手術企業のインテュイティブ・サージカル(ISRG)は1対3の株式分割を行いました。この分割は、他社の同様の動きに完全につながるものではありませんでしたが、株式分割に対する企業の認識に関する限り、多少の転換点となりました。
同社は、4年前に株式分割を行った際、斬新な理由を考え出しました。個人投資家が購入しやすい株価にするという通常のコメントに加えて、従業員への株式報酬をより正確に行うために有用であるとしたのです。株価が上昇すると、株式やオプションを効果的に付与することが難しくなります。現在、同社は、業界の低迷から力強く回復し、長期投資家に大きな報酬を与えているため、同じことが起こっているかもしれません。
前回の分割は、株価が1,000ドルの大台に近づいたときに行われました。現在では1株あたり900ドル以上で取引されており、今回も同じ理由で分割することは十分に考えられます。
ネットフリックス(NFLX)
Embed from Getty Images現在のネットフリックス(NFLX)の一株あたりの価格は530ドル前後で、過去に分割が行われた水準には達していません。しかし、現在の株価であれば、ストリーミングビデオ大手の同社が分割を進めることに不合理ではないでしょう。
直近の株式分割は2015年に行われました。この1対7の分割は、ネットフリックスが1株あたり700ドルの大台を超えてロケットスタートを切ったときに行われたもので、2010年代半ばに流行した複数の1対7の分割の一つでした。
ファンダメンタル的には、同社のビジネスは、再度の分割をサポートするのに十分な強さを持っています。2020年には加入者数が急増し、近い将来、再び月額料金を引き上げる可能性があります。ストリーミングビデオの競争が激しくなっても、ネットフリックスはオリジナルやサードパーティのコンテンツを豊富に取り揃え、先行者利益を確保してきました。
ネットフリックスが株式分割を行うには、もう一段の上昇が必要かもしれません。しかし、そのような上昇局面は、多くの人が考えるよりも早く訪れるかもしれません。