バロンズ選定 2021年トップCEOリスト(4)

バロンズ選定 2021年トップCEOリスト」に選ばれたCEOの略歴紹介、その4回目です。

ラリー・フィンク Larry Fink

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ブラックロックCEO since 1988

ブラックロックが昨年、売上、利益、運用資産を順調に伸ばしたことに驚きはありませんでした。豊富な流動性によってラリーが起こり資金運用者にとって運用は容易でした。しかし、そんな中でもブラックロックは業界の2倍のスピードで成長し、上位顧客がブラックロックの複数の商品を利用する割合が高まっています。

創業者兼CEOのラリー・フィンク氏(68歳)の下、ブラックロックはその規模を活かしてきました。iシェアーズ上場投資信託のコストを削減し、ポートフォリオ・ソフトウェア「アラジン」を業界トップの販売実績に育て上げ、急成長するオルタナティブ資産を活用して、債券がバブルのように見えるときに利回りを提供しています。最近のバロンズとのインタビューで、フィンク氏は特に中国での投資機会に強い関心を示しました。

フィンク氏によると、ブラックロックは、退職金を安定した年金支払いに変換するライフパス・ペイチェック・ファンドの「2、3の大きな勝利」を間もなく発表するとのことです。

また、ミームトレードや暗号の流行については、「金融リテラシーが向上し、退職後の貯蓄が増えるのであれば、それは良いことだ」と述べています。また、環境や社会的な目標を検討するよう促す手紙を他のCEOに毎年書いてきましたが、今ではそれが実行に移されつつあると語っています。

ヘンリー・フェルナンデス Henry Fernandez

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MSCI CEO since 1998

ヘンリー・フェルナンデス氏が率いるMSCIは、金融サービスとグリーンテックの境界線を曖昧にしています。MSCIは現在、中国の株式市場から欧州の債券まで、14,000以上のインデックスを算出しています。ゲノミクスやブロックチェーン技術などのテーマ別インデックスにも進出しています。投資家がインデックスファンドに移行し、企業がMSCIのデータや分析ツールのライセンスを取得することで、売上は着実に増加しています。

MSCIは、環境・社会・ガバナンスに関する企業評価でも主導的な役割を果たしています。投資家からの需要は活況を呈しており、ESGのスクリーニング基準がまだ成文化されていないにもかかわらず、米国では推定17兆ドルがESGの原則に従って運用されています。MSCIは、年間売上20億ドルのうち10%以上をESGおよび気候変動関連商品から得ており、この分野は年率36%で成長しています。

フェルナンデス氏(63歳)は、気候変動がポートフォリオや企業のリスク評価において独立した変数になると考えています。「MSCIにおいて、気候変動は、今後5年から10年の間に、ESGよりも大きなものにる」と同氏は語っています。MSCIの株価は2020年に73%も急騰しています。

アデナ・フリードマン Adena Friedman

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ナスダック CEO since 2017

昨年、ほぼすべての従業員がリモートで仕事をしながら市場を円滑に運営してきたナスダック。その株価は、新しいビジネスを獲得し続けているため、今年に入ってから35%も急騰しています。これは、2020年に純売上が15%増加し、純利益が20%増加したことによるものです。現在、同社の株価は将来の収益の25.5倍となっています。

創立50周年を迎えたナスダックが大きな成功を収めている分野のひとつに、新規株式公開があります。CEOのアデナ・フリードマン氏(51歳)はバロンズ誌に、「今年は80%の事業会社の上場を獲得した」と語りました。

同氏はまた、ナスダックの成功は、創業間もない企業との関係を築き、株式公開までの成長を支援してきたことによるものだと語っています。

ただ、IPOはナスダックのビジネスの一部に過ぎません。フリードマン氏は、ナスダックが最近27億5,000万ドルを投じて買収した、金融機関が金融犯罪を検知するためのクラウドベースのプラットフォームであるVerafinについて誇らしげに語っています。

「同社の使命は犯罪と戦うことであり、それは市場に誠実さをもたらすという我々の使命の大きな部分を占めています。だからこそ、金融システム全体をどのようにサポートするか、共同でビジョンを描くことができるのです」。

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