バロンズ選定 2021年トップCEOリスト(3)

バロンズ選定 2021年トップCEOリスト」に選ばれたCEOの略歴紹介、その3回目です。

H. ローレンス・カルプ・ジュニア H.Lawlence Culp Jr.

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ゼネラル・エレクトリックCEO since 2018

ゼネラル・エレクトリックの株価は昨年の夏から2倍になりました。好転を10年以上待っている投資家は、これが単なるCovid-19による不況からのリバウンドではないかと思うかもしれませんが、より深い変化が進行している兆候があります。

2018年、問題を抱えていたGEの電力部門は20億ドル以上の現金を使い果たしました。同年、GEはダナハーの元スターであるラリー・カルプ氏をCEOに任命し、同氏はすぐに会計上の「のれん」の評価を大幅に減らしました。その後、GEはコスト削減と負債削減を進め、バイオファーマ、照明、航空機リース、石炭火力発電などの事業を売却・撤退しました。規制当局との和解により、過去のサブプライムローンや電力会社の会計処理にまつわる問題は解消されました。電力事業は、いまや現金を消費するのではなく、生み出ししています。

この変化により、GEは、それまで健全だった航空事業のパンデミックによる落ち込みを乗り切ることができました。GEの他の中核部門である再生可能エネルギーとヘルスケアは、それぞれ急速な成長と安定した収益を享受しています。カルプ氏(58歳)は、最近6週間の事業視察で社員の士気の向上を実感したと語っています。

ジェイミー・ダイモン Jamie Dimon

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JPモルガン・チェースCEO since 2006

7月、ダコタ州でのテープカットを経て、チェース銀行はlower 48 states(アラスカとハワイを除く米国本土48州)すべてに支店を持つことになりました。これは業界初の試みです。

ジェイミー・ダイモン氏の多様性へのこだわりは、パンデミックの間もJPモルガンに貢献しました。ボラティリティーを利用したトレーディングや合併業務の好調さが、リテールバンキングの低迷を補っています。銀行の顧客は景気刺激策で潤っており、今のところローン需要は減少していますが、貸倒損失は低く抑えられているため、同社は数十億ドルの準備金を利益として放出することができました。

JPモルガンは、テクノロジーに年間120億ドルを投じてきました。その目的は、「すべてのものを、人工知能やデジタルサービスに利用しやすい最新のアーキテクチャにすること」だとダイモン氏(65歳)は言います。フィンテックのスタートアップ企業よりも厳しい銀行の規制を「負担になる」と言いながらも、JPモルガンには巨大なスケール、ブランド、信頼といったアドバンテージがあると語ります。同氏がチーフに就任して以来、株価のリターンは約500%で、S&P500指数を100ポイント以上上回っています。

マービン・エリソン Marvin Ellison

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ロウズCEO since 2018

パンデミックの初期に、マービン・エリソン氏は、ロウズの買い物客がただ単に防災用品を買い込んでいるだけではないことに気づいた瞬間があったそうです。「グリルやパティオ用の家具などを目にするようになると、何かユニークで変わったことが起こっていると感じるようになった」と、3年前に大手ホームセンターチェーン企業のCEO就任した同氏は言います。

その後、歴史に残るような家庭用品ブームが到来し、主要なライバル企業を上回る利益を上げました。1月期の既存店売上高は、ホームデポの20%に対し、ロウズは26%と大幅に増加しました。エリソン氏の功績は、DXの推進です。

3年前には、「10年前のインフラにドットコムサイトを開設し、ホワイトボードやバインダーを使って顧客の複雑な設置作業をプロジェクト管理していた」と同氏は言います。今日では、サイトは洗練され、店舗は改装され、従業員はモバイルデバイスとプロジェクトソフトウェアを持っています。新しいツールとチームによって、商品のインフレやサプライチェーンのねじれを管理できるようになりました。

パンデミックが緩和されても、成長が逆戻りすることはないとエリソン氏(56歳)は見ており、「住宅価格の上昇と新築住宅の不足は、消費に良い影響を与えている」と分析しています。

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