興味深かったイスラエル軍「初のAI戦」

6月27日の日本経済新聞電子版に掲載された「イスラエル軍「初のAI戦」」という記事はなかなかに刺激的でした。

イスラエル軍幹部は5月のパレスチナ自治区ガザでの軍事攻撃について、人工知能(AI)を「初めて作戦全般に取り入れた」と明かした。ロケット弾の迎撃や攻撃目標の特定にAIを活用した。今回の実戦を踏まえ、精度の向上につなげる方針だ。

出所:日本経済新聞電子版

日経がイスラエル軍のデジタル作戦プロセス部門を統括する幹部に直接取材して書かれたこの記事、かねてよりAIを使った軍事作戦って具体的にどうやるんだろうと思っていたので、とても興味深く読みました。

ロケット弾の迎撃や攻撃目標の特定に今回の作戦ではAIを使用したようです。

5月10日から21日までの交戦で、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスはイスラエルに4千発以上のロケット弾を発射し、イスラエル軍はガザに空爆を重ねた。

この幹部はAIを導入した作戦は「成功だった」と総括した。イスラエル軍は対空防衛システム「アイアンドーム」でガザから飛来したロケット弾の9割を撃墜した。

レーダーで捉えたロケット弾の軌道をAIで算出し、人口密集地に向かうものを迎撃する一方、空き地など無人の場所に着弾すると判断すれば放置するようシステムを構築した。

ガザへの攻撃では以下のようにAIを使ったそうです。

人を介して集めた情報や地理情報など大量のデータをアルゴリズムで分析し「精密攻撃」にいかしたと説明した。衛星画像やセンサーなどでガザ地区の地理を3次元情報として把握し、ハマスが設置したロケット弾発射装置の位置を特定した。攻撃に使う兵器の種類や、前線に近い地上部隊がより安全に移動できるルートもAIが助言したという。

「アルゴリズムと3次元モデリングが精密さ、正確さを保つのに役立っている」と説明した。ガザに住む個人の携帯電話の情報を把握しているか、との問いには「(データとして)リアルタイムで収集できるものすべてを使っている」と述べ、否定しなかった。

イスラエルには、ITや医療などの先端技術を持つ新興企業が多くあり、軍はこうした企業への人材供給源になっていることが知られています。軍民の関係は深く、軍のAI技術の開発は同国のIT企業との「共同の努力」であり「アルゴリズムはスタートアップ企業から得ている」とイスラエル軍の幹部は話したそうです。


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