オンラインスポーツベッティング企業であるドラフトキングス(DKNG)の株価は、アクティビスト投資家が、同社が所有する技術が、禁止されている米国外のいくつかの管轄区域のギャンブル事業で使用されているとする調査報告書を発表したことにより、6月15日に4%以上下落しました。終値は48.51ドルとなっています。
ヒンデンブルグ・リサーチは、ドラフトキングスの子会社であるSBテックが、オンラインベッティングを促進する技術を運営しており、その製品を現地の賭博規制を遵守していない複数の組織に販売したと主張しています。ヒンデンブルグによると、SBテックの売上の約50%は、ギャンブルが禁止されている市場で発生しているということです。
アナリストは、2021年のSBテック部門の売上は、前年比17%増の1億2,190万ドルになると見ています。ドラフトキングスは今年、11億6,000万ドルの売上に対し、11億9,000万ドルの純損失を計上すると予測されています。
ドラフトキングスは声明の中で、SBテックの事業を徹底的に調査し、「その結果に納得した」と述べています。
また、ヒンデンブルグのリポートは、ドラフトキングス株をショートしている人が、株価を下げるインセンティブを持って書いたもので、「SBテックはいかなる違法な市場でも運営していない」とドラフトキングスのスポークスマンはウォール・ストリート・ジャーナルに語っています。
米調査会社で空売りを手掛ける投資会社でもあるヒンデンブルグ・リサーチは、同社がドラフトキングスのショートポジションを持っていることを明らかにしています。
2012年にデイリーファンタジースポーツ事業としてスタートしたドラフトキングスは、2018年にスポーツベッティングに参入し、一部の例外を除いてスポーツベッティングを禁止していた法律が米国最高裁の判決で無効になったことを受けて、スロットやルーレットなどのカジノゲームのオンライン版の提供を開始しました。
法改正後、同社はDiamond Eagle Acquisitionという特別買収目的会社(SPAC)に買収される形でナスダックで取引を開始し、2019年に1株10ドルで上場し、SBテックの買収を含む株式公開の発表後には18.69ドルと約2倍になりました。これまでは、SPACに買収される形で上場した成功例のひとつとされていました。
空売りを手がける調査会社のリポートが常に株式市場の支持を得られるわけではありませんが、ヒンデンブルグの「実績」は無視できません。ヒンデンブルグは3月、同じくSPACとの合併で上場した新興の電気自動車(EV)メーカー、ローズタウン・モーターズに対して、受注台数の水増し疑惑を指摘。その後、ローズタウン・モーターズは、「予約注文に関する一部の記述の正確性に問題があった」と認め、株価はヒンデンブルグのリポート公表から40%下落しました。