クラウドデータソフトウェア企業のスノーフレーク(SNOW)が昨年の新規株式公開後初となるアナリストとのミーティングを6月10日に開催しました。
同社の最高財務責任者(CFO)であるマイク・スカルペリは、今回のバーチャルミーティングを開始するにあたり、同社のアドレス可能な市場規模は、IPO時に見込んでいた810億ドルから900億ドルに拡大したと述べました。
同社は2029年度までに年間の製品売上高を100億ドルにするという目標を掲げていますが、スカルペリ氏は講演の中で、100億ドルの売上目標を達成するための方法を説明しました。
同氏によると、スノーフレークは、1人当たり100万ドル以上の年間売上を上げる顧客が増えていくことで、ビジネスが推進されていくと考えており、このモデルでは、2029年度までにその規模の顧客が現在の77社から1,400社以上になると予想しているそうです。
これらの大規模顧客の平均年間売上は、現在の340万ドルから550万ドルに増加すると予想。これらの大口顧客からの売上は、現在の47%から、予測期間の終わりには77%を占めるようになると考えています。
さらに同氏は、予測期間終了までに製品売上を30%の割合で成長させることができると考えていると付け加えました。非GAAPベースの製品粗利益率を、直近の69%から2029年度までに75%にするとしており、目標期間終了時には、営業利益率は10%、フリーキャッシュフローの利益率は15%以上を見込んでいるとのことです。
スノーフレークは、2020年9月に1株120ドルで上場して、245ドルで取引を開始しました。一時429ドルにまで達しましたが、その後、株価は反転。1ヵ月前には184.71ドルまで下落しましたが、最近の急騰により、上場初日の取引価格を上回る250ドル台まで回復しました。
同社に関しては、急成長を喜ぶ強気派と、評価額が極端だと考える弱気派との間で激しい綱引きが行われています。
4月30日に終了した第1四半期の業績は、営業損失が3,580万ドルとなったものの、売上高は2億2,890万ドルと、前年同期比で110%増加し、ウォール街のコンセンサス予想である2億1,300万ドルを上回りました。同社の業績評価指標である製品売上高は2億1,380万ドルで、こちらも110%の増加となりました。
また、将来の成長を示す指標であるパフォーマンス義務の残存額(受注残のようなもの)は、206%増の14億ドルとなりました。また、契約更新数から顧客喪失数を差し引いた純保持率は168%となっています。
5月26日の決算発表以降、株価は約10%上昇しています。
スカルペリCFOは、その決算発表の後に行われたインタビューで、同社が空前の成長を続けていることに加え、製品売上の粗利益率を数年前の60%台前半から、第4四半期には72%以上に高めたと述べています。
また、2四半期連続でキャッシュフローの黒字化を達成したと述べており、スノーフレークは、今年初めて年間ベースのフリーキャッシュフローで収支が均衡する見込みであることを明かしています。
長期的な成長の見通しについて、スカルペリ氏は、「巨大な市場機会があり、私たちは、デジタルトランスフォーメーションの適切な場所とタイミングにいます」と述べています。
みずほ証券のアナリストであるグレッグ・モスコウィッツ氏は、6月10日の会議を前にしたリサーチノートの中で、同社の株式に対する強気のスタンスを説明しています。
「スノーフレークはかなりのプレミアムで取引されているが、当社はこの株には意味のあるアップサイドの可能性があり、同社が高い成長率を続ける中でアウトパフォームする可能性が高いと考えている」と述べ、「買い」の評価と300ドルの目標価格を繰り返しています。
「スノーフレークのクラウドベースのプラットフォームは、現時点で競合他社を大幅に凌駕しており、その技術的熟練度は大規模に複製することが非常に困難であると引き続き信じている。」と同氏は書いています。
エバーコアISIのKirk Materne氏は、最近の決算報告を振り返ったノートの中で、「特にデータ共有のエコシステムに関連して、会社の前にまだある大きな機会を説明するのに役立つはずだ 」と述べています。
同氏は、「評価額の拡大を続ける」間、株価はしばらくニュートラルに留まる可能性があるとしながらも、長期的な強気の姿勢を崩していません。株価をアウトパフォームと評価し、目標株価を311ドルに設定しています。
アナリスト・ミーティングで発表された長期的な目標に市場は感銘を受けていないようです。スノーフレークの株価は6月10日の時間外取引で4%下落しています。