テスラ 株価下落が継続、シェアダウンの懸念も

テスラ(TSLA)の株価の下落が止まりません。6月2日に3%下落した株価は、6月3日さらに大きく下落し前日より5.3%減の572.84ドルとなりました。

このところのテスラは満身創痍といった状況です。自動車のリコール、新規生産能力の立ち上げの遅れ、価格の上昇、部品不足、同社のビットコインへの関与、さらにはイーロン・マスクCEOのツイッターの習慣など、すべてが懸念材料、株価を押し下げる要因となっています。

最近では、中国の需要が懸念されています。テクノロジーニュースの「The Information」は、テスラの中国での注文が4月に比べて5月に半減したと報じました。

中国のEVメーカーは毎月の出荷量を報告していますが、テスラはどの国でも出荷量を開示しておらず、この報道を確認することができません。比較の基準となる過去の実績も多くなく、テスラからのコメントもないとあって情報が一人歩きしている状況です。

EV市場全体のシェアも、新たな問題としてテスラの株価を圧迫しています。クレディ・スイスのアナリスト、ダン・レビー氏は6月3日、テスラの市場シェアが低下しており、3月の世界のEV販売台数の29%から4月には11%に低下したと書いています。市場シェアは、生産停止や製品の発売など、さまざまな要因で月ごとに変動する可能性がありますが、それでもこの低下は注目に値します。

レビー氏によると、データが入手可能な直近の4月の世界のEV販売台数は、軽自動車の新車販売台数の約6.1%で、前年同月の約4.4%から増加しています。

ただ、他の自動車メーカーがEVを発売すれば、テスラのシェアは必ず下がるというのが今の市場の実情ですので、シェアで一喜一憂するのはあまり意味がないと思われます。

2025年のテスラの市場シェアがEV市場全体の33%でも25%でも、テスラの投資家にはあまり重要ではありません。大事なのは、それまでに300万台から400万台を販売するという経営陣の予測が達成されていることです。

その意味で、テスラにとって次の大きな試練は、ドイツとテキサス州オースティンの工場が2021年末ごろに稼働するときに訪れます。テスラは、カリフォルニア州フリーモントや中国の工場で生産した車と同様に、新工場で生産した車をすべて販売する必要があります。

テスラの投資家は、工場稼働後の販売状況を知るまでは、さまざまな話題でもたらされる株価の変動に耐えなければならない状況が続くと思われます。

レビー氏はテスラを「ホールド」と評価し、目標株価を800ドルとしています。これは現在の株価から40%あまりの上昇余地がある緩めの評価です。

全体として、テスラ株を担当するアナリストの約45%が、テスラ株を「買い」と評価しています。S&Pの銘柄の平均的な買い評価比率は約55%です。

アナリストの平均目標株価は約625ドルで、レビー氏の株価を下回っていますが、6月3日の終値との比較では、9%の上昇余地があることになります。

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