エヌビディア 暗号通貨用プロセッサの持つ意味

エヌビディア(NVDA)の2022年度第1四半期(NVIDIAの現在の会計年度は2022年1月まで)の決算説明会で注目されたのは、2月に発売されたばかりの新製品、暗号通貨マイニングプロセッサ(CMP)の売れ行きでした。


*CMP(cryptocurrency mining processor)については「エヌビディア 暗号通貨専用製品の目的とメリット」で詳しく書きましたのでご参照ください。

同社のCFO(最高財務責任者)であるコレット・クレス氏は、CMPの売上高は1億5500万ドルに達したと述べました。発売されて数ヶ月しか経っていない新製品としては、エヌビディアのような半導体業界のリーダーであっても、かなり印象的な数字です。

イーサリアムの価格が乱高下しているにもかかわらず、CMPの売上は好調を維持しているとクレス氏は述べており、同社は、2021年7月に終了する会計年度第2四半期におけるCMPの売上高を4億ドルと予測しています。

新製品としては上々のスタートですが、4億ドルはエヌビディアにとっては比較的少ない数字。同社は、第2四半期の総売上高を63億ドルと予想しており、CMPは売上高の約6%に過ぎません。

それでもCMPの販売増が意味を持つのは、エヌビディアのドル箱であるビデオゲーム分野への影響を防ぐための役割を持っているからです。

2019年、エヌビディアの業績は悲惨なものとなりました。暗号通貨マイナーの需要が蒸発し、販売チャネルの過剰在庫によりGPUの出荷数が減少、2019年第4四半期の売上高が24%減少したのです。

同社は、暗号通貨マイナーの需要を見誤り、ビットコインの価格が大幅に下落したときにその需要が大幅に減少したため、足をすくわれました。

こんな事態の再現を防ぐためにCMPは販売されています。CMPは、エヌビディアの新しいRTX 30 GPUが実際のゲーマーの手に渡るのを確実にするのに役立ちます(RTX 30は、イーサリアムの採掘を検知して計算能力を低下させ、暗号通貨マイナーにとって好ましくない状態にすることで、代わりにCMPユニットの購入を促すことができます)。

また、エヌビディアは自社製品がどこで使用されているかをより深く知ることができ、将来の業績予測にも役立つはずです。

だからといって、RTX 30 GPUがマイナーに買い占められることが全くないわけではありませんが、CMPのラインナップは、ビデオゲームの売上を他のエンドマーケットから切り離すのに役立つはずです。暗号価格の変動が続き、CMPの需要が突然なくなるような事態が起こると、投資家はその後のエヌビディアへの影響をより明確に把握することができるようになります。

要するにCMPはエヌビディアにとっての「炭鉱のカナリア」のような意味を持つ製品であり、同社の業績を追う上でその販売動向を把握することは非常に重要となります。

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