エヌビディア 5Gでも主役の一角に

コンピュータやデータセンターを動かすグラフィックカードを作っていることで有名なエヌビディア(NVDA)が第5世代(5G)無線技術の分野でも徐々に存在感を示しつつあります。

エヌビディアは、通信会社が5G仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)を展開する際に役立つとされるアプリケーションフレームワーク「Aerial」を開発し、5G市場に参入しています。

同社は、エリクソン、KDDI、ソフトバンクなどの有名な通信会社とvRANに関する提携を行っています。vRANは、第三者の推計によると、2030年まで年平均成長率が19%に達すると予想されている市場です。先月、エヌビディアは、AI-on-5Gプラットフォームの開発のために、アルファベットのグーグル・クラウド、富士通、マベニア、ウィンドリバー、ラディシスなどと提携し、5Gパートナーシップを拡大することを発表しました。

エヌビディアの経営陣によると、人工知能(AI)をベースにしたこのプラットフォームは、スマートシティや工場、高度な病院、インテリジェントな店舗の構築を加速させるとのこと。

このプラットフォームを導入する企業、モバイルネットワーク事業者、クラウドサービス事業者は、5GとエッジAIコンピューティングの両方を、単一の統合されたプラットフォームで処理できるようになるそうです。

エヌビディアは、ソフトウェア開発キット「Aerial」と同社のDPU(データ処理装置)「BlueField」を融合させることでこれを実現しています。

このプラットフォームは、GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)とDPUの両方のパワーを活用して、5G RANと人工知能アプリケーションを実行するのに役立ちます。

精密製造ロボット、無人搬送車、ドローン、ワイヤレスカメラ、セルフチェックアウト・アイル、そして、その他の何百もの変革的プロジェクトでの活用が想定されます。

エヌビディアは、エッジでのAIと5Gという2つの有利な市場を同時に狙っています。エッジでのAIとは、データを中央のデータセンターではなくソースに近いところで処理し、レイテンシーを下げて帯域幅の消費を抑えることで応答時間を改善することを意味します。ガートナー社は、来年までにデータの約74%がエッジで分析されると予測していますが、わずか1年前にはデータの91%がデータセンターで処理されていました。

エッジでのAI化が進むことで、産業オートメーション、自律走行車、予知メンテナンスなどの技術の導入が可能になります。5Gネットワークの平均速度は200~400Mbpsと予想され、4Gネットワークのわずか25Mbpsよりもはるかに高速です。一方、レイテンシーは、4Gネットワークの20~30ミリ秒から、5Gでは10ミリ秒以下になると予想されています。

エヌビディアの5Gへの取り組みは、現在、開発段階にあります。例えば、マベニアはAerialを搭載したvRANシステムを開発しており、これは公共および民間の5G市場をターゲットにするのに役立ちます。富士通は、Aerialを搭載したOpen RANシステムを今年後半に登場させる予定であり、ウインドリバーとラディシスは、Aerial AI-on-5Gプラットフォームを使用して、産業用および企業用の5Gネットワークを強化しています。

エヌビディアは、IHS Markit社の推計を引用して、AI-on-5Gによって2035年までに13兆ドル相当の生産性が飛躍的に向上すると指摘しています。つまり、同社の5Gにおける機会は、同社のプラットフォームをベースにしたソリューションの展開が始まれば、実を結び始める可能性があり、パートナー企業の進捗状況を考えると、それは遅かれ早かれ起こると考えられます。

エヌビディアの投資家は、5Gが今後数年のうちに同社の巨大な成長ドライバーとなり、すでに好調なビデオゲーム事業やデータセンター事業の驚異的な成長を助けることになると期待できます。

また、データセンター事業も好調で、エヌビディアの最新製品開発の動きにより、さらに良くなっていくはずです。アナリストの予想では、これらのすべての触媒が、長期的にはNVIDIAの年間収益成長率を20%以上にすると見込まれています。

5Gが加わることで、この素晴らしいペースの収益成長を加速させることができるため、株価が高騰する前にエヌビディアの購入を考えても良いかもしれません。

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