トレードデスク(TTD)が5月10日、市場が開く前に発表した第1四半期の決算報告は業績が好調であることを示すものでした。
売上を前年同期比37%増の2億1,980万ドルと発表し、2億1,690万ドルという市場予想を上回りました。ガイダンスでは、2億1,400万ドルから2億1,700万ドルの売上を見込んでいました。
調整後のEBITDA(金利・税金・減価償却費控除前利益)は7,050万ドルで、「少なくとも5,500万ドル 」という以前のガイダンス予想をこちらも上回りました。
非GAAPベースの利益は1株当たり1.41ドルで、市場予想の77セントを大きく上回っています。
顧客維持率は引き続き高く、7年連続で95%以上を維持しており、同社が顧客に価値を提供していることを明確に示しています。
すでに発表されているように、同社はウォルマートと共同で新しいDSPを立ち上げ、広告プラットフォームを刷新します。
また、ユーザーのプライバシーと適切な広告のバランスをとる業界共通の新しいプロトコルであるUnified ID 2.0への対応を進めており、サードパーティのクッキーに代わるものを提供すると述べています。
第2四半期の売上高は、2億5,900万ドルから2億6,200万ドルと予想、前回のストリートコンセンサスである2億5,390万ドルを上回り、調整後のEBITDAは最低でも8,400万ドルとなる見込みです。
また同社は、決算報告とは別に6月17日を効力発生日とする1対10の株式分割を発表しています。
CEOのジェフ・グリーン氏は声明の中で、「第1四半期で再び当社の予想を上回る優れた業績を達成した」とし、「売上の伸びが前年同期に比べて加速しているのは、マーケターがデータ駆動型広告に価値を置いていることを証明しており、引き続き成長を牽引している “コネクテッド・テレビ “は、この傾向を顕著に表している」と述べています。
しかし、この決算報告や株式分割の発表も市場を満足させることはできませんでした。株価は-26%の489.6ドルと暴落して5月10日のマーケットを終えています。
キャノンボール・リサーチのアナリストであるVasily Karasyov氏によると、最近の同業他社の決算報告、特に先週発表されたロクの決算が、広告を中心としたプラットフォーム部門の前年同期比101%の成長など、予想を上回る業績を報告していたことから、トレードデスクはより大きな成果とガイダンスを期待されていたようです。
また、本日掲載した「デジタル広告への懸念からネット関連株が下落」でご紹介したデジタル広告の見通しへの懸念が高まったことも大きく影響していると思われます。
5月10日の市場終了後に決算発表を控えていた同業のマグナイト(MGNI)も発表前にもかかわらず、-20.3%とトレードデスク同様に暴落したこともこの日の下げがアドテック銘柄全体を巻き込んだものだったことを示しています。
アドテック銘柄は、昨年、パンデミックの際に広告主がデジタルチャネルにシフトしたことで総じて高騰しましたが、現在、投資家は、このセクターに十分なモメンタムがあるにもかかわらず、今年後半は絶好調だった前年との難しい比較にさらされることや、伸びきったバリュエーションを懸念しているようです。