5月10日の米国市場 なぜハイテク株は売られたか?

5月10日の米国市場。ダウ平均株価が史上最高値を更新した一方で、ハイテク株の多いナスダック総合株価指数は打撃を受けました。

ダウとナスダックは逆の動きをしており、ダウは日中上げていたものの最後に下げて0.1%下落、一方、ナスダックは2.6%と大幅に下落しています。S&P500は1%の下落でした。これは先月末に始まった傾向を引き継いでおり、ダウは4月26日から2.2%上昇しているのに対し、ナスダックは5%下落しています。

2021年第1四半期の米国のGDPは6.4%と急成長しており、5月7日発表の雇用統計の内容が失望させるものだったにもかかわらず、需要は引き続き回復するものと見られます。

こうした経済の強さは企業収益を大きく押し上げており、2021年には34%の成長が見込まれています。この強さが経済の動きに依存することの大きいバリュー株への追い風となっています。独自の軌跡で成長するグロース株と比べるとバリュー株の方が好景気の後押しを受けて大きく伸びると見られており、ウェルズ・ファーゴ社のデータによると、ラッセル1000バリュー・インデックスの今後1年間の利益成長率の予想は、ラッセル1000グロース・インデックスのそれを4%ポイント上回っています。

これは非常に珍しいことであり、バリュー株は投資家にとって魅力的なものとなっています。しかし、残念なことに、多くの投資家はこの10年間、ハイテクセクターを中心としたグロース株以外はほとんど購入していません。

つまり、投資家は購入資金を新たな現金で調達するか、グロース株をあきらめる必要があるのです。

バンク・オブ・アメリカのデータによると、ファンドマネージャーは現在、ポートフォリオの平均4.1%を現金で保有しています。数字自体は過去の平均値と同じですが、ポジションの調整のために売却を強いられる水準です。

キングスランド・グロース・アドバイザーズのチーフ・インベストメント・オフィサーであるアーサー・ワイズ氏は、「現金保有率の低さは、(ハイテク株売りの)一因であることは間違いない」「バリューを買うためには、グロースを売らなければならない」と述べています。

どうやらそれは実行されているようで、5月10日、テクノロジーセレクトセクターSPDR ETF(XLK)は-2.5%、アップル(AAPL)-2.6%、アマゾン(AMZN)-3.1%、テスラ (TSLA)-6.4%、フェイスブック (FB)-4.1%、アルファベット(GOOG)-2.4%、ネットフリックス(NFLX)-3.4% などハイテク株大手は軒並み急落しました。

かつては高値で取引されていた成長株が多く集まるARKイノベーションETF(ARKK)-5.3%。2月の高値からは34%も下落しています。

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